【秋葉原アンダーグラウンド】第4章 11話
シドは辺りを見回した。しかし、どこにもシュンの姿はない。すると突然シドは顔面を殴られた。オートガードで守られたが、その表皮にはヒビが入っている。すると、目の前にシュンが現れた。
「いくら上級だからっていって、無限に能力が使える訳じゃないだろ。お前の拳の威力が落ちていることで確信した。」
シドは頬のダイヤに触れながらシュンを睨みつける。確かにシュンの言っていることは正しかった。オートガードをしている分、常に能力は発動している。しかもシドは戦っていないときでさえ常に発動している。大抵のやつはシドに攻撃をするだけで自爆する。そのため、シドは自分から攻撃をするということをほとんどしない。
「それに、確かダイヤモンドって割れやすい面があるんだよな。」
これも正しかった。ダイヤモンドの結晶は八面体の構造をしているが、その中でも原子間の結びつきが弱い4方向に限り、衝撃を与えることで簡単に層状に剥がれ落ちる。シュンは意識が飛びそうになりながらも、砕けたダイヤモンドが割けているのを見逃さなかった。
「だからどうしたというのだ。お前が不利な状況は変わってないぞ。」
確かに長期戦になればシュンのほうが有利だが、もらっているダメージは大きくすでに体中はボロボロだった。
「それじゃあぶっ倒れる前に、ぶっ倒すしか残ってないな。」
そう言うとシュンは両手の拳をまるでダイヤのように固める。今度は細胞を硬質化した。しかし能力の限界が近く、両手の拳しか硬質化できなかった。それでも、シュンは高速でシドに向かい拳を何度も突き続けた。シドはオートガードで防御の体制をとっていなかったが、ダイヤが剥がれていくにつれしだいに自身で防御する体制となった。
「オラオラオラァ!」
ガードしている腕のダイヤも剥がれ落ちていき、ついにはシド本来の体にシュンの拳が届いた。シュンはそれでも殴り続けることをやめなかった。シドの腕だけじゃなく、体全体に拳が入っていく。シドは思わず血を吐いた。それでもシュンは攻撃をやめなかった。
「オラオラオラオラオラァ!!」
そしてとどめの一発が入りシドは壁まで吹き飛ばされてしまった。
2組を隔てていた氷の壁が溶け出していき、講堂には2人のみ立っている姿があった。
「そっちは終わったのかよ。」
シュンがレンに話しかける。
「ああ。たった今終わったところだ。お前のほうは?」
「こっちもちょうど今終わったところだ。」
シュン側でおおわれていたダイヤの壁も剥がれ落ちていく。ルナとシド、2人が気を失い能力の発動が止まったのだろう。講堂は見るも無残な状態となっていた。急にシュンがその場に倒れた。
「おい、シュン!」
レンはシュンのそばまで駆け寄った。
「オレのほうがお前より強いって証明できたな。」
「うるせぇ。そんなこと今どうだっていいんだよ。今手当てしてやる。」
そう言うとレンはシュンに風を送る。癒しの風とまではいかないが、シュンの体は風に包まれ少しずつ流れた血が止まっていく。
「リツみたいなことしてんじゃねぇよ。そんな芸当オレにはできねぇんだから、まるでオレがてめぇより弱いみてぇじゃねぇか。」
「弱くなんかないぞ。」
講堂の扉が開き、入り口からリツの声が聞こえた。
