【秋葉原アンダーグラウンド】第5章 11話
「すみません。ここは許可のない方はお入りできない決まりになっていまして。」
門番が男に向かって言った。
「あれ?公社の人間も入れないだっけ?」
「はい。公社の方々はどんな用件であろうとも入れてはならない決まりになっています。」
スラム外の外壁を眺めながら男はふうんと呟く。
「君たち、重犯罪者をかくまっていたりしない?」
門番はドキッとした。確かにリツは重犯罪者ではある。実はこの門番の男は元師兵だった。リツを取り巻く状況はわかっている。それに、ワンが通せと命じた以上引くつもりはなかった。
「大変ご足労おかけいたしましたがお引き取りください。」
「ねぇ?君って元師兵だったよね?たしか・・・2級だったかな?オレ人の顔覚えるの得意なんだよね~♪それに君の能力も覚えている。でも、いくら門番でも能力は使えなくなってるかな?」
男はそう言うと周囲の水分を掌に圧縮し始めた。それを見逃さなかった門番はリツたちにつけたバンドを男に投げつける。それは見事に男の腕にあたり、男の掌で圧縮された塊はたちまち溶けていった。
「すごいな!君のコントロールもすごかったけどこのバンド、ワン博士の発明でしょ?能力が全く使えない!」
男は両手をぶんぶん振り回してみせたが、能力が発動することはなかった。門番は男を取り押さえようとしたがかわされ、代わりにカウンターを入れられた。男の蹴りが顎に入り、その場に倒れこんでしまった。
「別に能力がなきゃ戦えないとか弱いとか言った覚えはないからね。ん?このバンドつけてりゃ中入っても怪しくなくね?」
男はそう言うと門番を横目にスラム街へと入っていった。
「あれ?お取込み中だった?」
「お前は・・・ステイルか?」
リツは男を見ながらそう言った。辺りに緊張が走る。
「よく同期のこと覚えてたね。もうすっかり忘れられたかと思っていたよ。」
ステイルはケラケラと笑ってみせた。
「ロンの遣いの前に私宛の刺客とはな。」
「ロンの遣いのほうが良かったの?それこそここにいる何人死ぬかわからないよ?オレのほうでよかったね♪」
ステイルから笑みが消え、今度は真剣な眼差しでリツを見つめている。
「キャサリン・ローレック。今すぐ投降しろ。これは命令だ。」
「一体誰の命令だって?そんなもの応じるつもりはない。それに私はリツだ。」
「1級には単独権限が与えられていることは覚えているよな?」
「そうかそうか。お前1級に昇格したのか。おめでとう。」
「舐めた口聞きやがって。まぁいいや。どうせかくまったお前ら全員牢屋行きだ。」
「そのバンドをつけた状態で何ができるというのだ?」
リツも同様にバンドをつけていて能力が使えない状態ではあったが、その迫力はこれまで見たことないほどだった。レンは思わず後ずさりしてしまったが、シュンのほうは動じていない様子だった。
「ねぇ博士、このバンド取ってくれない?」
静寂を破るかのように、ステイルはワンに向かってそう言った。
