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【秋葉原アンダーグラウンド】第5章 1話

今から約5年前、私は地下から飛び出した。能力でしか物事をはかれないこの世界にうんざりした。でも、それ以上にここに残りたくない理由があった。

ルリ覚醒実験を進めている間にも、地下ではサラの血清による重病患者の治療は行われていた。毎日のようにやってくる患者は蘇生し、そして能力という異能を手にしていった。能力者が増えてくるとそれを悪用する輩が現れてきた。いわゆる力試しというやつだ。それを良しとしない公社は、地上でいう警察のような兵隊を作り、それらを制してきた。それが師兵だった。師兵制度には階級があり、1級から3級まで与えられた。1級ともなると一国をも脅かす核のような存在であり、反乱を企てる者は一人として現れなかった。

姉のキャサリンは妹のチェルシーと共に師兵隊に所属していた。2人とも2級の階級を与えられていた。

「それにしてもチェル、本当に身体は大丈夫なのか?」
「うん。治してもらってからだいぶ経つけど、あれから何も変化なしだよ!」

2人は公社の廊下を歩きながら話していた。当時チェルシーはその若さで乳がんを患っており、そのがん細胞が全身にまで転移していた。体を動かすことすらままならず、手の施しようがなかったため、第一被験者としてライやトガ達と治療を受けた。治療は大成功で、今ではそんな状況だったことを思わせないほどピンピンしている。蘇生と引き換えに授かった異能は「重力」だった。第一被験者はサラの血清が濃かったため能力の質が高く、師兵制度ができてから皆1級の称号を与えられた。ただ一人チェルシーを除いて。

「てか本当に1級蹴ってよかったのかよ?1級ともなれば公社の高級マンションにだって住めるし、何より金に困んないだろ?」
「うん。そんなの必要ないの。私にはお姉ちゃんがそばにいてくれればそれでいいの。それに、お姉ちゃんがこうやって2級になってくれたから今はすごく嬉しい!」

キャサリンも乳がんを患っておりサラの血清治療を受けた一人だった。チェルシーほど重症ではなかったため順番はかなり後ろになってしまったが、3級となり、今では2級試験に合格し公社で勤務している。キャサリンも「重力」を授かっていた。

「そう言ってくれるとありがたいんだけどよ、上のやつらはきっといい気持ちしてねぇと思うな。」
「そしたら私がぶっ飛ばしちゃう。階級は2級でも力は1級なんだからね!」
「その思想が危ねぇからウチらが存在するんだろうが。やめてくれよ内部反乱なんか。」
「うん。もしそんなことになったら、お姉ちゃんが止めてね。あ、お姉ちゃんじゃ私を止められないか?笑」
「こんの、クソ妹がぁ。」

そういうと2人は廊下を走りだした。キャサリンは幸せだった。地下に来なければ妹は死に、自分もいつかは同じ運命をたどる。それが今こうして追いかけっこをしている。想像さえできなかった未来だ。

「つかまえたぞ!」
「あちゃ~つかまっちゃったかぁ。じゃあ今度は私の番ね。お姉ちゃん逃げてね~。」

そう言うとまた2人は走り出した。途中うるせーぞと誰かの声が聞こえたが、2人は無視して走り回っていた。


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