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【秋葉原アンダーグラウンド】第5章 2話

「ワン、もうやめておけ。そんな研究をして何の意味がある?」
「保険だよ。いくら能力者だってやられることだってあんだろ?もしロンみたいなやつがいてシンみたいなことになったら、次はどうやって助ける?」

そのために師兵制度があるんだろうがとイジュンは思ったが、私師兵が一般の能力者を殺してしまわないとも限らない。そのときはどう責任をとったらいいのだろう?イジュンには言い返す言葉が見つからなかった。

ワンはサラの血清の2度打ち実験を試みていた。一度血清で蘇生した者が、何らかの形で深手を負わないとも限らない。その際にサラの血清をもう一度打ったらどうなるのか?無事に回復してくれるのだろうか?

「あぁやっぱりだめ。今回も失敗。細胞が拒絶している。」
「まるでアナフィラキシーショックだな。地下に争いのない社会を構築していくのが現実なんじゃないのか?」
「んなこと言ってたら戦争はとっくになくなってるぜ。」

ワンの言うことはもっともだった。確かに地下の治安は現状維持できている。おそらくシンが実質の支配者だからだ。もはや独裁政権とも言える。しかし、シンは表には出てこないし何かを国民に強いることはない。平和そのものだった。

「それに、実験を開始する前にシミュレーションはしてみたんだろう?98.9999%の確率で失敗すると出ているじゃないか。」

イジュンはワンのそばにあったモニターをながめながら言う。6ナイン(99.9999%)出ていればあきらめはついたのだが、これが研究者の性なのか、1%でも可能性が残っていたら手を出さずにはいられないのだ。

「この1%が何を意味しているのかだよなぁ。そういやオレにくれたサラさんの1回目の血清も98.9999%の成功率だったんだよな?」
「あれはお前に投与してから6ナインに変わったんだよ。というか、それは成功のパーセンテージであって、失敗のパーセンテージとは逆だろう。」

そっかとワンは宙をながめ呟く。

「アナフィラキシーが起きているんなら、免疫細胞そのものを取り除いてからじゃないとだめってことなんかなぁ。」
「それなら、そいつの持ってる能力そのものを消す必要があるな。」
「それだよ、イジュン!なんだ簡単なことじゃないか!先に能力を消しちまえばいいんだ!」

ワンは興奮し、座っていた椅子を転がしながら立ち上がった。

「で、具体的にどうやるんだ?」
「それはこれから考える!マザーんとこ行って、リンとドクにも話してみる!」

マザーというのは地下に置かれたスーパーコンピューターに設置されたAIであり、ドクというのは今サラの血清治療を行っている施設の責任者のことだ。

「ドクは治療で忙しいし、リン君はいま動ける状態じゃないだろう?」

リンはワンとの子供を身籠っていた。もうすぐ臨月をむかえるところだった。

「そしたらイジュン、一緒にマザーんとこ行こうぜ!」
「なんでこのオレが。オレは公社の仕事で忙しいんだ。」
「とか言って、本当は数字見てみたいんだろ?お前も腐っても研究者だからな。」
「腐ってもは余計だ。」

そう言うと、イジュンは研究所を抜け出したワンの後をついていった。


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