【秋葉原アンダーグラウンド】第4章 4話
「勝負ありだな。」
リツの言葉をよそに、レンはシュンの元へと駆け寄った。
「まったく冷や冷やさせるなよ。何度死んじまったかと思ったよ。」
レンは涙を浮かべてシュンに話しかけたが、シュンは目をつぶったまま動かない。まさか相打ちだったのか?そしたら今シュンは・・・レンは思わずその場に座り込んでしまった
「生きてるよ。」
シュンは目をつむりながらも声を上げた。生きている。レンはそれだけで十分だった。
「ったく、初戦からこんなやつとかマジしんど。わりいがしばらく動けそうにない。」
「ゆっくり休め。お前は十分すぎる働きをした。お前は強い。そう思っていい。」
リツも近づきそう告げる。あのリツが珍しく人をほめた。シュンが生きていること以上にレンは驚いた表情をしていた。それを察したのか、
「なにか文句でもあるのか?」
「え、あ、いや・・・なんでシュンは電撃が効かなかったのかなぁなんて・・・」
レンはすかさず話題をすり替えた。リツは特段気にしてないようだった。
「いや、ちゃんと食らったぜ、一個目の通天球はな。」
シュンはこの戦いで何をしたのか、何が起こったのかゆっくり話し始めた。
「通天球。あれはマジでやばいと判断した。一個目はぶつかる直前、足元の土を思いっきり蹴り飛ばしてクッションがわりにした。よく土は電気を通さないとか言うだろ。」
「たしかにそうかもしれないけど、厳密には土の成分比で変わってくるぜ。」
「揚げ足をとるなよ。結果的ににダメージは減らせたんだからな。でもかなり効いた。正直もう立ちたくないと思ったよ。それで寝ながら、お前たちが話してるのを聞きながら考えた。もっと電気を通さなくすることはできないかって。」
レンにオレの腕を触ってみろと言った。レンは感電するんじゃないかと恐る恐る触ってみた。ぐにゃり。シュンの腕がまるでゴムボールみたいにつぶれた。これって・・・
「そうだ。とっさにゴムを思い出した。そして、オレの能力で細胞を軟質化できないかやってみた。それがこれらの結果だ。」
「そうか、だから2個めの通天球は食らわず、エルの体を貫いても感電しなかった訳か。てか、よくあの短い時間でそんな体完成させたよな。」
「それだけ能力の使い方が上手くなったということだ。」
リツはまたしてもほめてくれた。
「お前も負けてられんぞ。」
そう言うとリツはエルを起こし、傷口の手当てを始めた。
「リツさん、なにを。」
「こいつに恩を売っておく。それに門番が不在だと、入口の均衡が保たれないからな。」
リツはエルの傷口に手を当てる。流れていた血が止まっていく気配を感じた。途中ガフッとエルは血を吐いたが、リツに身を委ねざるをえなかった。能力の使い方次第では、相手の傷口をふさぎ、血流を安定させることもできるのかもしれない。しかし、それはリツみたいな上級者であってこそできる芸当だ。
「よし、だいたい血は止まったな。このまま管理室までこいつを運ぶ。」
リツはエルに肩を貸し歩き始める。エルのほうはおぼつかない足取りだった。
「ここでオレを殺さなかったことをいつか後悔するぜ。」
「そうなったらまた殺すまでだ。」
エルは完敗とでも言うかのように、静かに笑っていた。
