【秋葉原アンダーグラウンド】 第7章 13話
「ライ・・・オレがわかるのか?」
「チィっ、今の爆発で目を覚ましよって!」
ルシウスはライに命令するもライは反応しなかった。肉体に魂が宿っている分、その肉体が目を覚ますとこうなることは目に見えていた。そのため、ルシウスはある種の催眠をかけライを操っていたにすぎない。ライはルシウスへと振り返る。
「ルシウスか。久しいな。とりあえず感謝だけは伝えておこう。オレをも超える逸材に再び出会わせてくれたんだからな。」
「馬鹿言うなよ、ライ。お前が張摩を使えば一瞬で終わりだったんだからな。」
「まぁそう言うなステイル。それよりもなぜ張摩を使わせなかったかだ。おそらく催眠にも許容量があるのだろう。張摩を使えば催眠が解ける。まぁそんなところだろう。」
「ごちゃごちゃと言うてくれまんな。ステイルごとき張摩を使わんでも勝てる思てたんや。」
「それがお前の敗因だ。ステイルをみくびり過ぎたな。」
「まだ終わってへんよ。」
ルシウスはそう言うとガドの持っていた銃を拾い自身の頭を撃ち抜いた。一体何をと言うライの呼び掛けも虚しく、ルシウスはその場に倒れた。
「こいつ・・・死んだのか。」
ステイルがルシウスに近づこうとしたその時、ルシウスの指がピクっと動いた。ステイルは思わず離れる。次の瞬間ルシウスは影に飲み込まれ、再び姿を現した。その姿はまるで悪魔のようにも見えた。
「1級との壁は能力を覚醒させられているか否かやったっけ。そしたらわいも1級ということになるんかいな。」
「まさかこいつ、覚醒してやがったのか。」
「最終奥義やで。自身を一度地獄に落とした。ほんでわいは地獄の番人ルシファーの力を手に入れたっちゅう訳や。」
覚醒者なのか、地獄の力を手に入れたのかはさておき、ルシウスは明らかにこれまでとは違う様子だった。ライは雷撃を食らわせてみたが、傷一つ付かなかった。
「硬いな。」
「そら地獄の物質でできてるさかい、地上のものと一緒にしたらあかんよ。」
「だそうだ、ライ。さてどうする?」
「ステイル、まだ戦えるか?」
「もうほとんど残ってねぇけどな。何をしたらいい?」
ステイルの能力はほぼ底をついていたが、ライが味方についたことによりどこか安心し、まだいけると思わせてくれる。ステイルはライの指示により、ルシウスを水の渦の中に閉じ込めた。ルシウスはそこから出ようと試みるも、渦の勢いが強過ぎて出られず、おまけに渦に触れた部分が削り取られていた。もはや水ではなく鋼が渦巻いているようだった。
「いいぞ、ステイル。そのままやつを閉じ込めておいてくれ。」
「こんなん触らんかったらなんも怖ないで。さっさと仕掛けてこんかい。」
それを聞いた後、ライは上空から渦の中に入っていった。真下ではルシウスが待ち構えている。
「そっから来ると思っとったで。あんさんにも逃げ場はない。死にや!」
「一ついいことを教えてやる。」
ルシウスは巨大な鎌を振り斬撃を飛ばす。しかしライは覚醒してるにも関わらず雷神化せず、そのままそれを食らってしまう。しかし雷鳴とともにライは消えてしまった。それは分身だったのである。偽物のライが完全に消えた直後、本体のライがトールハンマーを持ってルシウスに襲い掛かる。ルシウスは防御するも虚しく、絶対的攻撃力を誇るトールハンマーの前では手も足も出なかった。
「1級との壁は能力の覚醒の有無ではない。そもそもの使い方が違うんだ。」
ルシウスはルシファーから元のルシウスに戻り、気を失ったまま倒れていた。するとライのほうも体が透けていくのがわかった。
「そろそろだな。」
「どういうことだよ、ライ?なんで消えちまうんだよ。」
「力の所有者が気を失ったからさ。それに二度と同じ過ちを踏まないように、オレの体の一部も燃やしておいた。」
ルシウスは腰に巻いていたバッグに、ストックと呼んでいたライの体の一部を閉まっておいた。しかし先のトールハンマーによりそのバッグは燃やされたのだった。ライの体はどんどん薄くなっていっている。
「オレは元々死んだ身だ。元いた場所へ帰るだけさ。ステイル、本当に強くなったな。みんなのことをあとは頼んだぞ。」
ライはそう言い残すとついには消えてしまった。
「みんなのこと?あとは頼んだ?勝手なこと言いやがって。そんなのキャラに合わねーよ・・・でもまぁ少しくらい考えてやってもいいかな。」
ステイルはその場を後にし、国会議事堂へと向かって行った。
