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【秋葉原アンダーグラウンド】 第7章 6話

レンはトガとエンと共に研究所の廊下を歩いていた。すると、一室からワンの声が聞こえてきた。さりげなく覗いてみると、ワンがシュン、リツ、ステイルに向けて何やら話し込んでいる。おそらく第一陣としての動き方を教えているのだろう。トガに呼ばれているのに気付き、レンはその場を後にした。


「第一陣に気を取られている場合ではないぞ。お前にはお前の役割があることを忘れるな。」

「トガっさん、りょうかい。」


エンは何も言わず先頭を歩いている。未だ何も発しないその姿にレンは少し不気味に思ったが、開けた空間に出るとそれがただの余念だったことに気付かされる。


「レンくんと言ったっけ?初めましてだね。オレはエン。先ほどシンから話があったように玄武の使い手だ。」

「あっ、どうも初めまして。レンって言います。よろしくお願いします。」

「まぁそんなかしこまるな。オレはトガほど厳しくないから安心してくれ。」


エンの一言にトガはむっとしたが、何も言わないでいた。


「ここしかなかったのか?というかまだ残ってたんだな。」

「ああ。決して忘れてはならない。そう自分たちを戒めるための場としてここは残してある。」


よく見ると講堂というよりは屋内の闘技場を思わせるその景色は、所々破壊されたような箇所があった。


「ここで何が行われてたんですか?」

「ここはね、かつて1級師兵の昇級審査が行われていたんだ。そして、チェルシーが亡くなった場所でもある。」

「チェルシーって、リツさんの妹さんのことですよね?」

「そうだ。あれはカラスによって初めから仕組まれていたものだ。今思えばその頃からカラスとロンは繋がっていたのかもしれないな。」

「そんな・・・」

「君が気に病むことではない。さぁ、そのロンを止めるための修行を始めようか!君もこちら側の切り札になることには間違いないからね。」

「切り札って・・・オレそんな大したやつじゃないですよ。シンさんに負けてしまいましたし。それに、黄龍だってこんなボロボロにしちゃったし・・・」


そう言うとレンは黄龍を抜いて見せた。刀身に刃が食い込んだ跡が無数にあり、今にも折れてしまいそうだった。


「シンとの戦いでそれで済んだだけかなりマシなほうだ。だがなレン、黄龍本来の姿はそんなやわなものじゃない。両手でしっかり握っていろ。」


トガがそう言った直後、黄龍の刀身に青い龍の姿が映った。青龍だ。トガは黄龍に青龍をぶつける気だ。しかも最大の火力でだ。それは拳を構えているトガの周りに青い炎が燃え盛っていることから明らかだった。トガはそのまま拳を放つと黄龍に衝撃が走り、そのまま青い炎に包まれた。レンはその熱さから黄龍を放ってしまった。黄龍は依然として青い炎に包まれている。


「トガっさん、何してくれたんだよ!このままじゃ黄龍がもたないよ!」

「レン、黄龍をよく見てみろ。」


レンは燃え盛っている黄龍を凝視すると、刀身が溶けていっているのがわかった。慌てて炎を消そうと風を集めたが、待てとトガに制されてしまい黙って見ているしかなかった。このままじゃ黄龍が壊れてしまう・・・


「鉄の融点は約1,500℃、オレの青の炎は約10,000℃だ。今溶けているのはいわば黄龍の表面だ。ここから黄龍は本来の姿を現す。」


トガの言う通り、木刀のような厚さだった黄龍が洗練されていき、徐々に日本刀のような姿が現れてきた。それでも10,000℃の温度だ。どんな金属も耐えられない。はずだったが・・・


「溶けてなくならない・・・?」

「その通りだ。恐らく白金などとの合金で作られていると思われるが、具体的な構成はわかっていない。」

「そもそもどうやって、誰が何の目的で作ったのかもわかっていないんだ。一説によれば神の手によって地上に落とされたとも言われている。」


それこそ幻、いや伝説の刀と言っても過言ではない。青い炎は燃え尽き、その場には黄龍だけが残った。レンは静かに近づき、黄龍を持ち上げた。


「軽い・・・」


そう言うと軽く黄龍を振ってみせた。すると数m先の壁に大きな亀裂が走った。


「えっ?オレ能力使ってないけど・・・」

「使ったのではない。黄龍によって使われたのだ。今や主従関係は逆転し、お前は黄龍に扱われる立場となった。」

「すげぇよ、トガっさん!今ならオレ、シンさんにも通用しそうな気がする!」


しかし、黄龍は今度は朱雀を繰り出そうとしている。レンは必死で抑えようとするも黄龍は言うことを聞かない。朱雀はこれまで見たことないくらいの大きさと輝きを持ち、レンの意思を無視してエンにむけ放たれた。


「エンさん、危ない!」

「玄武・解、剛、完整」


そう言うとエンは静かに玄武を完全顕現させた。


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