【秋葉原アンダーグラウンド】第6章 1話
狭く暗いトンネル。地上への緊急脱出用ルートとして、地下から2本伸びている。もちろんこのルートは一部の関係者にしか与えられていない情報である。No.03とNo.04はそこを通り地上へ向かっていた。2体はいわば改造人間であり、蘇生後あらゆる改良を施された「獣人」だった。背中には巨大な鳥を思わせる羽が生えており、ハヤブサのごとく時速300km以上のスピードを出せる。地下から地上までは30秒もあれば脱出可能だ。
地上へ出た2体がまず感じた違和感は、明かりがほとんどないことだった。建物はもちろん、そこらを歩いている人間のスマートフォンの明かりでさえ確認することができないほど暗かった。
「ゼロサン。異常事態発生だ。私は地下に戻り報告をしてくる。」
「ゼロヨン。了解した。私はこのまま地上の様子をうかがうことにする。じきにライも駆けつける。すぐに地下に戻ってくれ。」
2人は簡単な伝達を済ませ2方向に分かれる。そのときだった。
「ばぁ?」
急にゼロサンの背中に一人の若い男が飛び乗った。一体どこから降ってきたというのだ?それよりもゼロサンの初速を捕らえたことのほうが驚くに値する。
「こうやって羽をぐるぐるってしちゃえば飛べなくなるよね?」
「ゼロサン!」
「構うなゼロヨン!お前の任務を全うしろ!」
ゼロサンは男と共に落下していった。ゼロヨンは言われた通り地下へと戻っていった。ゼロサンと男が地面に激突する直前、ゼロサンは自らを回転させ、男を地面へ叩きつけた。ゼロサンもその反動を食らってしまったが、動けないほどではなかった。
「さて。誰だか知らんがこれで終わりという訳ではないだろうな。」
「そうさその通り!さすが地下の人間だけあるね!いやぁ一時はどうなることかと思ったよ。」
「その割にはかなり元気いっぱいだな。」
男はパッと起き上がり笑っていた。あの高さからの落下、さらに私の回転も加えだ打撃を受けてダメージがまるでない。一体こいつは何者なのだ?
「あ、オレはイザナキっていうんだけど、こっちでの能力者だよ。」
「だろうな。どんなトリックを使ったかわからんが、その姿を見て確信したよ。ロンの遣いだな。」
「そうそう。ロンの手下~。戦争はもう始まっているんだよ♪」
おそらくこの大規模停電もこいつらの仕業だろう。目の前のこいつがやったのか?いや、そんなことはどうでもいい。私は私の仕事を全うする。するとゼロサンは戦闘態勢をとった。目つきや牙、爪などはまるで猛獣のようだ。
「わお♪君ってもしかして獣人ってやつ?ラッキー。一度戦ってみたかったんだよね♪」
「後悔するなよ。」
ゼロサンはそういうとイザナキ目がけて突っ込んでいった。
「ロン、イザナキが獣人1名と接触しました。」
「おそらくゼロサンのほうだろうな。ゼロヨンは応援を呼びに行ったか。」
ゼロサンとイザナキから遠く離れだビルの頂上で、ロンは一人の少女と話していた。
「ミカサ、君の力とその目は本当に優秀だ。」
「もったいないお言葉、ありがとうございます。」
「あとはライがいつ、どこから出てくるかだな。」
「来ました。ここから西に約1kmのところ、第7ビルの屋上です。」
ロンとミカサの背後に別な気配があった。
「だそうだ、カラス。行ってくれるか?」
「ええ、もちろん♪」
そう言うとカラスは西に目がけて飛び去っていった。
