【秋葉原アンダーグラウンド】第6章 2話
ライは眼下に広がる異様な光景を静かに見ていた。
「電気系統がやられているな。しかも大規模かつ繊細に。よほど能力の扱いが上手いのだろう。準1級以上か。」
そう呟くとライは掌を自身の立っているビルに向けた。電気の流れる音と共に窓から明かりが漏れ始める。ライは「雷撃」の能力でビルの電力を復旧させたのだ。次に隣のビルに掌を翳そうとした瞬間、目の前に黒い塊が降ってきた。
「まったく困りますね。そんなことしてもらったら計画が台無しじゃないですか。」
「カラスか。やはり貴様はそちら側の人間だったか。」
「はて?そちら側とはどちら側のことを言っているのでしょうか?」
「とぼけるなよ。よくここがわかったな。」
「ええ。ウチには優秀な電気屋さんがいまして。いくらあなたが力を抑え込んだとしても微かな電波でさえ感じ取ってしまうんですよ。」
2人は睨み合う体制となった。もはや一触即発だった。ふとカラスは頭上を見上げた。雷雲が近くまで来ている。次の瞬間、カラス目掛けて一筋の雷が落ちた。凄まじい轟音と眩しさでカラスの姿が見えなくなる。しかし、目が慣れてきた頃にはカラスがその場から動いておらず、かつ無傷で立っているのがわかった。
「さすがは雷神と言われるだけのことはありますね。手元に出していた爆弾を全て使いきってしまいましたよ。」
そう言った直後、さらに2度落雷がカラスを襲う。しかし、またしてもそれはカラスに届かず、頭上で止まってしまう。
「まったく容赦ないですね。このまま続けたら能力がカラになってしまう。」
次にカラスは掌をライに向けるとライは爆発に包まれた。ビル全体を震わせるほどの振動。かなりの衝撃だった。しかし、砂埃が消えた頃ライは姿を現した。その姿はまるで雷をライの姿で模したような形をしていた。
「やはり覚醒はしていますね。これじゃ攻撃が当たらない。ですが・・・」
カラスはさらに2度ライを爆発させてみせた。当然爆弾は当たらないかに見えたが、
「・・・ッ痛・・・」
「おや?今度は届きましたか?ということは、今のは私のほうが上手だったみたいですね♪」
カラスは悦に浸っていた。ライの身体の複数箇所に爆発による出血が見られた。
「覚醒者同士だとあとは能力の質になりますからね。かの雷神にダメージを与えられるとは、私も強くなったということでいいんですよね♪」
カラスは笑いが止まらなかった。そんなカラスに向けてライは両手から電撃を繰り出す。それはまるで真横に走る雷のようだった。もちろん先のように、カラスにぶつかる直前で爆弾と相殺されてしまったが、今後は威力が違った。その勢いでカラスの体は後ろに押される。尚も続く電撃により、ついにはカラスの身体は宙に浮き、ビルの外へと投げ出されてしまった。
「ほんとに容姿ないですね。殺す気ですか?」
「1級には単独権限が与えられているだろう。」
そういうとライもカラスに続き空中へと飛び出し2人を囲む檻のようなものを電撃で作った。カラスはその檻の中で、自身が作った爆弾に足を乗せる。ライのほうは浮いているようで、その姿は雷神そのものだった。
「もう逃げられんぞ。ここからは必中の攻撃だ。」
「なるほど。これが噂の張摩ですか。」
ライは右手にハンマーのようなものを雷で作り上げた。それもかなり大きい。
「トールハンマーまで拝めるとは。私はやはり強かったという認識でしたか?♪」
「一瞬で消してやる。」
ライのトールハンマーは雷撃でますます大きくなる。そしてそれはカラス目掛けて振り出された。
