【秋葉原アンダーグラウンド】第6章 3話
ゼロヨンは猛スピードでパイプの中を通り地下へと戻ってきた。そしてその勢いのまま、公社の上層階辺りに突っ込んだ。中にはイジュンの他、1級師兵が数名待機していた。
「大変だ!ゼロサンが敵に襲われた!」
それを聞いたイジュンは冷静に言葉を返す。
「少し取り乱しているところ悪いが、もう少し情報を提示してくれないか?」
「これは大変失礼いたしました。地上の電気系統は全て使いものとなっておらず、完全な闇に包まれております。おそらく電気系の能力者によるものと推定されます。また、ゼロサンが敵1名と交戦中。かなりの使い手だと思われます。」
「よろしい。だが地上には今ライも行っているはずだ。ゼロサンのことは心配ないだろう。」
ライがいれば問題ない。しかし、次に口を開いたのはその場に居合わせていたソウだった。
「んん~、でもさっきからライさんその場からあんま動いてないっぽいんだよね。ゼロヨンたちとは離れたところに出たでしょ?」
そう言うとソウは自身の指につけた金色の糸のようなものを触ってみせた。これが彼の能力なのだろう。ライには糸を付けたと言っている。
「ライのほうも交戦中の可能性が高いな。しかもかなりの手だれだ。動かないとはそういうことだろう。」
イジュンは考え込む姿をとった。
「ロンの仕業とみて間違いないな。」
皆も同意見というようにその場で頷く。
「とりあえず向かってもいいか?」
そう言ったのはカイだった。背中に大きな剣を背負っている。
「そうだな。カイ、ソウ、それにモズ。3名向かってくれ。ゼロヨン、案内を頼む。」
一度に1級を3人も遣わせるとは、それほど事態は大きいとイジュンは判断したのだろう。しかし、その判断が的確だったことは、後になって思い知らされる。
「あ、ちょっと待って。」
ソウが皆の動きを止めてそう言った。
「ライに付けてた糸が消えた。」
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マユの眠っている病院。病院は停電が起こると自動で自家発電に切り替わるため、マユに繋いである装置は止まらずに動き続けていた。
「長いな。」
トガは思わず呟いた。停電が起こってからかれこれ30分は経っている。地震もなくそれほどの大規模な停電となると、
「能力者か。おそらく電気系の。ロンめついに動き出したか。」
トガはICUを抜け出し再び窓の外を眺める。辺り一面が闇に包まれている。一切の光も感じなかったが、時折轟音と共にどこかが光ったのを感じた。自販機で飲み物を買いICUに戻ろうとしたところで、目の前の空間が割れて1人の女が姿を現した。
「あいにくそこは入口ではないのだがな。」
「そんなことはどうでもよい。妾は今気分が良いのだ。」
女は銀色の長い髪を垂らしながらトガの目の前を横切る。何かを探しているようだった。
「そちらは関係者以外立ち入り禁止の部屋となっているが。」
「構わん。どうせすぐに全てなくなる。」
次の瞬間、トガは女に向け炎の拳を振りかざした。しかし当たった直後、その攻撃は跳ね返されてしまった。
「なんじゃ貴様、妾と戦おうというのか?」
「あいにく関係者なんでね。」
そう言うとトガは炎を圧縮し、それを拳に乗せて飛ばした。火拳とトガは叫んだ。しかしまたしても女に当たった直後、その炎の拳は跳ね返されてしまった。
「なるほど。反射か。」
「ほぉ。よくぞわかったな。妾はイザナミ。ロンの名によりマユを殺しにきたものじゃ。」
「誰もそこまで聞いてないんだがな。良かったよ、女に手はあげない主義だが、敵なら話は別だ。」
トガは拳を固め、再びイザナミ目掛けてその地を蹴った。
