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【秋葉原アンダーグラウンド】第6章 4話

「一体どこに向かっているんですか?地上への道はこっちじゃなかったと思うけど。」


レンは隣を歩いているリツに問う。リツに付いて来いとだけの言われ付いて来たが、地下に入って来た道とは明らかに違っていた。リツは松葉杖をついて歩いてはいたが、その足取りは普通の人間とほとんど大差なかった。正面を見据えただひたすらに目的地を目指している。


「着いたぞ。」

「着いたって、まだ地下じゃないですか?」


リツはとある集落の近くにある広場の中央でそう言った。


「よくここで妹と稽古をしたな。」


リツはどこか懐かしむような表情をしていた。レンは黙ってリツのほうを見ていた。だが頭の中では一刻も早くマユのいる地上に戻りたい一心で焦っていた。レンがそのことをリツに伝えようとしたとき、リツのほうから話しかけられた。


「稽古を始めるぞ。」


レンは思いもよらない一言に戸惑っていた。今から稽古だって?地上はどうするの?というかその体で何ができるの?様々な思いが錯綜している中、リツは続けてこう言った。


「まさか、私がこんな体だから相手ができないとでも思っているのか?」

「いやいや、確かにそれも思いましたけど、地上はどうするんですか?早く助けに行ってあげないと。」

「さっき出て行くときも言ったが、今頃地上には1級のライがいるはずだ。私達が行っても邪魔になるだけだ。」

「え?それじゃあ地上に向かうって言ったのは・・・」

「嘘だ。」


マジかよ。思わずレンは声に出してしまった。確かに噂通りならライさん一人で対応できるのかもしれない。でも相手はきっとロンだ。どんな卑劣な手を使ってくるかわからない。レンは困惑の表情を隠せないでいた。


「ライ一人じゃ不安か?」

「よく・・・わからないです。オレはライさんのことほとんど知らないし、それに相手はきっとあのロンですよ。仕掛けてきたってことは何か策があるのかもしれない。」

「まだロンだと決まった訳ではないが、仮にロンだとして策があったとしてもだ、ライには勝てんだろうな。」

「そんなに強いんですか、ライさんって。」

「ああ。シンと互角と言っても過言ではないな。ちょっとあいつは特別だ。」


なんとなくシンさんはヤバそうって思っていたけど、そんなヤバそうな人がまだいるのか?レンは頭がくらくらしてきた。


「だからお前にはそのレベルに近づいてもらいたい。大丈夫だ、見込みはある。これはそのための稽古だと思っていい。」


リツは優しい顔でレンを見つめた。


「わかったよリツさん。強くなるためだったらなんでもする。でもリツさん、さっきも言ってたけどその体でオレの稽古なんかつけれるの?」

「馬鹿にするな。この状態でもお前の攻撃は当たらん。」


レンは少しムッとした。オレだって地上にいたときより強くなってるんだ。今からそれを証明してやる。レンは黄龍を抜き、ルナとの戦いで見せた炎の風を纏わせた。


「ほう。それがお前の新しい技か。遠慮はいらん。全力でぶつけてみろ。」

「言われなくても!」


レンは大きく振りかぶり、朱雀と叫び炎の風をリツにぶつける。リツの体はたちまち炎の風に包まれた。


「ヤバい。やりすぎた。」


レンは慌ててリツの元へ近づこうとしたが、リツを包んでいた炎が徐々に消えていく。重力の球体の中心に自身を置き、さらにそれを操作することで風をかき消しているようだった。


「まぁ2級程度であれば面白い技だな。」


レンは先の言葉を撤回し、さらに出力を上げもう一度朱雀を繰り出した。しかし先の結果と同様に朱雀はリツに届かずかき消されてしまう。


「朱雀という名前はいいが、これじゃただの熱風だな。」

「もういっちょう!」

「やめだ。一回止めろ。」


レンは再び剣を振り下ろそうとしたが、リツの言葉で制されてしまった。


「もういい、わかった。」


そう言うとリツは纏っていた重力を解いた。レンは行き場のない剣先を地面へと降ろしてしまった。そしてリツとの力の差にショックを隠し切れない思いだった。


「一応オレの全力だったんだけどな。」

「ああ、確かに受け取った。だが、これではやはりシン、いや1級にすら届かん。」


一体どうすればと考えてみたが、答えは全く出てこなかった。その代わりとしてリツがこう応えた。


「炎の風という意味では朱雀という名前は間違ってはいない。だがお前は朱雀の本当の意味を知らないでいる。」


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