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【秋葉原アンダーグラウンド】第6章 15話

翌朝、この事件は各種メディアで大きく取り上げられた。大規模な停電、電波ジャック、そしてイザナキが残した大きな穴。さらに、いつ、誰が撮ったのかはわからないが、ライやモズなど多数の画像も流れ、テロリストとして指名手配された。もちろん、ここまで計算してロンは動いていただろう。しかし、これだけの災害にも関わらず、怪我人は出ても死者が出なかったのは不幸中の幸いだった。


レンやリツ、その他1級師兵たちは皆地下に身を潜めるしかなかった。もちろん、その中には目覚めたマユの姿もあった。


「しっかりと顔が映っているな。地上での戸籍がない分特定はできないと思うが。それよりも・・・」

「これからは対一般人も想定する必要があるということか?」

「いや、それだけは絶対に許しちゃいけない。オレらが始めたことに一般人まで巻き込んではいけない!」

「お前ら最後まで話を聞け。ワンのいう通り一般人を巻き込む訳にはいかないが、確実に警察や機動隊らは地下まで攻めてくるだろう。だからといって抵抗すれば戦争の引き金にならないとも限らない。」

「このまま黙って降伏しろってことか?」

「それこそロンの描いている未来だ。我々だけではなく、他の地下の住民にまで影響が出る。」

「でも、これって政府主導の研究だった訳ですよね?ロンがそんなことしたら自分の首を絞めないかなって思うんですけど。」

「やつは現首相だ。何とでも言うことができる。」

「となると、ロンを失墜させる必要があるということだな。」

「そういうことだ、リツ。だが世論は味方をしてくれない。なにせ証拠なんてないのだからな。」

「証拠、作ればいいんじゃない?例えばあいつが戦っているところを撮るとか?」

「リン、ヤツがそう簡単に姿を見せると思うか?あのライがやられるほどの手駒を既に用意してある。それに、こちらから仕掛ければテロリストとして確実に世間から非難される。」


イジュン、カイ、ワン、トガ、レン、リツ、リンが話し込んでいた。他の者たちは重症を負っており、治療に専念していた。カイはビルから投げ出された後、自身の剣をビルに突き差し地上への直撃を避けていた。マユはその場にはいたが、皆が何を言っているのかわからず困惑の表情を浮かべていたが、隣でリンに支えられていた。シュンはというと、近くにはいたが話し合いには参加せず、何か考え事をしている様子だった。しばらくの沈黙が流れていると、急に遠くから足音が聞こえた。


「警官らは回避しつつ、ロン一派を一掃するしかないんじゃないか?」

「シン!サラさんやルリちゃんの様子は?」

「2人とも無事に目を覚ました。マユちゃん、本当にありがとう。いや、マユちゃんだけではないな。ここにいる全員に感謝する。ありがとう。」


シンは深々と頭を下げた。事は数時間前に遡る。


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「シン、いるか?命の巫女を連れて来た!」


薄暗い研究室。そこには水で満たされたカプセルに閉じ止められたサラ、ベッドに横たわっているルリ、そして2人のそばでイスに腰掛けているシンの姿があった。眠れていないのかシンの目元にはくまがあり、何も食べていないのか頬もこけている印象を受けた。


「久しぶりだな、ワン。巫女はここにちゃんといるぞ。」


シンはサラとルリのことを言っていた。目の焦点もあっていない。ワンは思わずシンの両肩を掴んで叫んだ。


「もう1人の巫女だ!ルリから直接力をもらっている!覚えているだろう?」

「あぁ、そうだったな。目を覚ましたのか。」

「そうだ。これでサラさんもルリちゃんも目を覚ます!」


ワンのその声を聞き、虚ろだったシンの目に光が戻ってきた気配があった。シンはワンの後ろに隠れていたマユとリツを見た。


「キャサリン、あの時は、チェルシーを救えなかったあの日のことを詫びなければならない。」

「だから嫌だったんだよ私はここに来るのを!どうせお前の指示じゃなかったんだろ。だからもうそれを口にするな!」


リツはそう言ったがシンは頭を上げることをやめなかった。


「それで、私は何をすればよいのでしょうか。」


マユのその声はとてもか細く、今にも消えてしまいそうだったが、この沈黙を破るには十分だった。


「ごめんごめん、そうだったね。まずはルリちゃんとサラさんに能力消失の血清を打とう。マユちゃんの出番はその後だ。」

「話の途中にごめんね~。2人ともそれで死なずに目を覚ます計算だけど、他の患者たちはこれからどうするのさ?まさかサラちゃんの培養液だけ保存しておくとか言わないよね?」

「ワン、彼女がマザーか?初めましてだな。もちろんそんなことはしない。培養液は全て捨てる。これがあるから全てが狂ってしまったんだ。同じ轍は二度と踏まない。」

「さっすがシンちゃん!それもシュミレーションの結果なのかな~?なんて、うそうそ。そんなの計算しなくたってあなたならわかってくれると思った。」

「こんなオレを信じてくれるのか?ありがとう、マザー。」

「私は機械でしかないから信じる信じないなんてわからない。全ては計算の結果。そうしたほうが未来は良くなるのを知っているだけ。」


マザーは少し照れくさそうに言っていたが、事実その結果は正しいのだろう。それが例え数%でも良い方向に傾いてさえいればそれでいい。自身のことを機械と言ってはいたが、より人間らしい思考の持ち主だった。


ワンはサラとルリに能力消失の血清を打った。2人とも穏やかに眠っている。


「さぁマユちゃん、君の出番だ。何も難しく考えることはない。ただ2人が目を覚ましてくれるよう祈るだけだ。」

「わかりました。やってみます。」


マユは目をつむり祈るような仕草をすると、あの緑色の閃光が迸り、サラとルリの身体を包み込んだ。


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