【秋葉原アンダーグラウンド】第3章 10話
「この顔の痛み、一生忘れねーからな。」
レンは頬をさすりながら、シュンに向かって怒って言った。
「はいはい、どうぞご自由に。」
シュンは適当にあしらい、手元の漫画本を読んでいる。二人は病院で同部屋だった。しかも隣どうしという。協調性を養わせる目的で、トガが意図的にそうしたのだった。
急に病室のドアが開いた。しかも大きな音を立てて。
「お、なんだ元気そうじゃないか。地下には明日には行けそうか?」
リツだった。一応のマナーのため、見舞い品として果物を持っている。
「リツさん、この足と手見てよく明日行けるとか言えますね。それに、お隣さんのほうが重症ですよ。」
シュンは足と手のギプスを指さしながら言った。レンに至っては内臓が破裂していたため、寝返りをうつことさえ難しい。
「シュン、お前、熱の能力使って細胞を活性化させて、ケガの治りを早めることはできないのか?」
「それができてたら、明日の出発に文句なんて言いませんよ。」
「使えねぇな。」
なんだととリツに飛びかかろうと思ったが、足が固定されているため、上半身を起こすことしかできなかった。シュンは再びベッドに横になる。
「確かに能力者は傷の治りが早い。加えてお前の能力はそれにも活かせるだろう。どうせやることがないんだ、修行の一環だと思ってやってみたらどうだ?」
今度はトガが入ってきた。トガは特に見舞い品は持っていなかった。
2人が病室を後にすると、変な沈黙が流れた。先に口を開いたのはレンだった。
「お前、いつもどうやって熱の力出してんの?」
「は?てめぇの風の力と一緒だよ。イメージだよ、イメージ。」
「ってことは、体内の細胞を動かすイメージか。よし、オレもいっちょやってみっかな。」
「てめぇ、リツの言ってること真に受けてんじゃねぇよ。」
「リツさんの言ってること何となくわかるよ。だって、能力って巫女の力分けてもらってるってことだろ?ってことはさ、生き返すことはできなくても、回復ぐらいはできるんじゃねぇの?」
「考えが飛躍しすぎ。」
シュンは再び漫画本に手をのばす。だが、頭の中ではレンの発言が気になっていた。どうせすることねぇんだし試すだけ試してみるかな。レンに言われたからやったと思わせないために、シュンはベッドのカーテンを閉めた。
目をつぶり、まずは折れた右手指に意識を集中する。砕けた骨が再生するイメージ。流れる組織液を循環するイメージ。そして、骨と骨とを繋ぐイメージ。
すると心なしか、さっきまで動かなかった指先が動くのを感じた。よりイメージを強くすれば黙っているより治りは早いかもしれない。これが能力の違う使い方なのか?
「おい。」
思わずレンに向かって話しかける。
「明日だ。明日のこの時間までにオレは折れた骨を修復してみせる。」
「なんだ?やる気になったのか?もしかして上手くいったのか?」
「うるさい。」
「じゃあオレも、明日までに臓器修復といこうかなぁ。」
「お前には無理。」
思わずなにをとレンは言ったが、その顔は少し嬉しそうだった。
