【秋葉原アンダーグラウンド】第3章 6話
トガはレンの次に、離れて立っているシュンを睨みつけた。
「ここでなにをしていたんだ?」
その威圧感にシュンは一瞬たじろいたが、すぐに我に返りこう答えてみせた。
「いやだなぁ、そんな顔で睨まないでくださいよ。ちょっともみ合いになっただけですって。」
「もみ合いの理由はなんでもいいが、鉄パイプを持っているこいつが倒れ、手ぶらなお前が立っている姿は、もみ合いなんて生ぬるい言葉で片付けられない気がするがな。」
トガはレンに立てるか?と声をかけ、肩を貸してやった。
「あれ?おじさんもしかしてそいつの知り合い?早く病院連れてってあげなよ~。あばら数本いっちゃってるっぽいからさ~。」
シュンは愉快な顔で笑っている。
「その前にお前を暴行罪で警察に連れていかないとな。」
「おじさんにそんなことできるかな~。」
「『関係者』だと言えばどうだ?」
「やっぱりね、そうこなくっちゃ!!」
シュンは先ほどと同様の速さでトガに突っ込んだ。
「へぇ、この力使ってはじめて止められたよ。」
トガはレンを支えていないほうの手で、シュンの拳を受け止めていた。トガは少し考えた顔をしていたが、次にはレンに向かいこう放った。
「だいたいわかった。レン、引き続きお前が相手をしろ。」
「ちょっとおじさん、何わけわかんねぇこと言ってんの?お前の相手はオレだろ?」
シュンは明らかに苛立っていた。今なら体中から湯気が立ち上っているのがはっきりとわかる。
「言っている意味がわからなかったか?お前の相手はこいつで十分だということだ。」
シュンは先ほどよりも早いスピードで二人に突っ込んだ。しかし、またしてもその拳は止められた。今度はトガではなくレンにだった。
「なに?」
シュンは怒りと驚きの表情を浮かべ、自分の拳を見た。レンの掌までシュンの拳が届いていなかったのだ。ほんの数cmだが、その間には空気の壁があるように感じた。
「やればできるじゃないか。ほんの数cmだが大気を圧縮できている。」
「結構体力使うんですけど。」
レンは疲れより嬉しさが顔に出ている。それが気に食わないシュンはさらに出力を上げ、レンの掌を押し返そうとする。しかし、その距離は一向に埋まらない。レンはコツをつかんできており、むしろシュンの拳を引き離そうとしていた。
「チッ。」
シュンは一度距離をとって2人から離れた。するとトガがレンに話しかける。
「さて、今度はさっきみたいにうまくいかないぞ。実践と同じ、どこからどのような攻撃を仕掛けてくるかわからない。さばき方はこれまでの修行で教えたとおりだ。あとは・・・」
トガはレンに細長い包みを渡した。包みを開くと中には箱が入っており、その箱の中には日本刀が入っていた。え?と驚くレンの顔を横目に、トガは呟いた。
「黄龍。れっきとした名刀だ。実践とはそういうものだ。」
レンは黄龍を鞘から抜き、シュンに向き構えてみせた。
爽やかな風がレンを包み込んだ。
