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【秋葉原アンダーグラウンド】第3章 4話

それから約一週間、トガとリツによる稽古は続いた。
戦闘における体の使い方、足の動かし方、護身術に至るまで、ありとあらゆる特訓が行われた。中でも剣術の占める割合は多かった。

「風は道具に乗せたほうが効率がいいからな。大きく振れば爆風を起こせ、鋭く振れば刃となる。まぁ単純にそうはいかないが、リツみたいに圧縮するのはまだ先の話だ。」

リツは重力を圧縮し、拳に乗せ叩くことができる。その分打撃の威力も強い。高難度の技術だ。レンは風を出すことはできるようになったが、一か所に留めておくことができない。

「あとはイメージだ。剣に風をまとわせ、振り落とすと同時に一気に放出させる。抜刀すると同時に相手にぶつける、そんな感じだ。」

はじめは何を言っているのかわからなかったトガの発言も、レンは日を追うごとに理解できるようになっていた。最後のほうでは、トガを反対側の壁に飛ばせるまで風を扱えるようになっていた。

「どうだトガっさん!」

レンは得意気な顔でトガに話しかける。トガはやれやれという仕草をみせ、二人は休憩に入った。

「ところで今日リツさんは?」

レンはスポーツドリンクを飲みながらトガに問いかける。

「研修生たちのマネジメントと言っていたな。」

トガは汗を拭きながら答える。そう、こんな状態でもリツにはメインとなる仕事がある。今やAKIHABARA49の主要メンバーだけでなく、研修生のマネジメントまで任されているのだ。その合間をぬってレンの特訓に付き合ってくれているのだから、相当な仕事量となる。だがこれもリツだからこなせるという上の判断で、リツには不満は一切ない。とんだ敏腕マネージャーだ。

「そうだトガっさん。本当にオレ以外に能力授かったやつっていないわけ?」
「前にも言ったろう。リツが見せてくれたお前を含めた250名のリスト、その全員にあたってみたが、体に何の変化もなかったと。」

もちろん、その250(正確には249)名全員のところに赴いたのはリツだ。リツは稽古初日にリストを提示し、該当者なしとだけ言っていた。アカウント情報から住所をたどることはできるが、全国にのぼる。その一軒一軒をあたったそうだが、どこにそんな時間があったのか?やはりリツは優秀だ。

「巫女の光は外にまでのびたらしいが、それを浴びた一般人まで探すのは不可能だ。つまり、地下に行くのはお前しかいない。だからこそこうやってマンツーマンで指導できるというものだ。ありがたく思え。」

トガはスポーツドリンクを一気に飲み干し、午後1時から再開すると言い、道場に戻っていった。時刻は正午を回っていた。

レンは腹ペコだった。昼飯どこで食べよっかなぁと飲食店を物色していたが、結局いつも行っているカレー屋に入り、いつものカツカレーを注文した。

「くぅ~、これこれ!力使ったあとはカツカレーに限るぜ!」

カレーを頬張るレンを横目に、隣に座った男が話しかけてきた。

「力を使えばかなりのエネルギーを消費するからな。ところでお前、何の力が使えるんだ?」

レンは思わず男に振り返り、頬張っていたカレーを丸呑みした。喉につまりそうだったので、あわてて水を飲んだ。

「ち、力ってさ、ほら筋トレした後ってことだよ。何も特別なものなんて持ってねぇよ。」

レンは慌てて答えた。能力については一般人には他言無用だと、リツにも釘を刺されていた。

「隠すなよ。お前にもお姫様からもらった特別な能力があるんだろ?」

そう言うと男は、持っていたグラスの水を蒸発させてみせた。


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