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【秋葉原アンダーグラウンド】第6章 12話

ライはトールハンマーをカラス目掛けて振り下ろす。カラスは咄嗟に巨大な爆弾を作り防ごうとするが、それは爆弾を爆発させることなく蒸発させカラスに直撃する。カラスは両腕で受け止めようとするもその勢いは止まらず、ライは振り切ると同時にカラスの両腕を消し去った。


「まったく痛いじゃないですか。でも腕がなくなったところで私の攻撃は・・・」


カラスが言い切る前に、ライは再びトールハンマーを振るう。カラスは人の話は最後まで聞くものですよと言い今度は避けようとする。しかし、完全に避け切ったはずのトールハンマーが目の前に現れ、左頬から右の腰辺りまでなぞるように削られてしまった。カラスはつけていたマスクはおろか左頬を焼失し、そこから口の中が見え、体の正面は斜めの傷で抉られ、肋骨も剥き出しになってしまった。大量出血をしているがカラスは冷静に話し始めた。


「なるほど。これが張摩内での必中効果というやつですか。私がいくら逃げようとしても、私から発せられる微弱な電波を引き付け攻撃を当てる。おそらくいくら距離をとっていたとしても、その場で振り下ろすだけで攻撃は当たってしまうんでしょうね。」


カラスは興奮のあまり笑みをこぼしていた。普段から不気味な笑みを浮かべてはいたが、マスクがとれさらに左頬がないおかげで、その表情は余計に不気味さを増した。ライはこの戦いを終わらせるかのようにトールハンマーを振り上げようとした。しかし実際には振り上げようとした腕ごと結界下に落ちてしまった。


「おや?どうしたんですか?早く私にとどめをさしてくださいよ。」


ライは切り離された腕の断面を見ていた。


「細胞が破壊されていっている。毒か?いや、ナノマシンか?」

「さすがはライ。ナノ爆弾を発射させてもらいました。そのナノ爆弾は私の細胞そのものでしてね、今みたいに細胞が爆ぜるとそれは風に乗り10kmほど飛来します。あなたの張摩内なので今はそこまで飛ばせませんが、張摩に穴を開けることなど容易にできますよ。」


カラスから滴る血がライの結界下に降り注ぎ、徐々に穴が空いていく。このままでは一般人にまで被害が及ぶと判断したライはすぐにその穴を塞ぎ、さらに自分とカラスだけを包む狭い張摩を作り出し、二重の結界を発生させた。


「そんな無茶していいんですか?張摩を作るにはかなりのエネルギーを使うと聞きますが。」

「これが最善の策だ。貴様を葬るにはこうするしかない。」

「なるほど、あなたらしい素晴らしい判断だ。ですがここまでは考慮に入れていない。」


すると二重の結界の上から黒い靄のようなものが飛び出し、それは瞬く間にして辺りを包み込んだ。


「実はこうなることを見越して予め準備させていただきました。私も張摩が作れるのですよ。」

「馬鹿な。しかもこの大きさ、貴様死ぬ気か?」

「よくて相打ちといったところでしょうか?こうでもしないとあなたを倒すことなどできませんからね。」


そういうとカラスの体が光り出し、体にひびのようなものが入っていく。自爆するつもりだ。だがいくら張摩が大きかろうが、内側に2重の張摩を張っている。張摩は外側からの攻撃には弱いが内側からの攻撃には強い。ライがそう思っていた矢先、カラスの張摩内の一つ目のライの張摩に穴が開いていくのが見えた。


「それもすでに対策済みですよ。閉じ込められる前に両足を切断して飛ばし見えなくしていました。今やそれらは私の張摩内の必中効果であなたの張摩をも蝕んでいく。二つ目の結界に穴が開くのも時間の問題ですかね。そして内側では私の全細胞をもってあなたを破壊させる。そして余った細胞は外へ漏れ出し他をも巻き込む。こちらばかりに集中することはできない。」


そういうとカラスの体はさらに光り出し、今にも爆発しようとする。二重目の結界にも穴が開きつつある。ライはそれらを閉じようとするも、内側からの雷撃では外側からのナノ爆弾の侵食を食い止めることができない。


「まさに芸術です。さぁ、全力で私を止めてみせろ!雷神!!」


カラスはついに自身の体を爆発させた。ライは咄嗟に残り全ての力を使い、カラスだけを覆う三重目の張摩を作り出した。張摩は内側からの攻撃には強い。目には見えないがカラスから爆ぜた何十兆もの細胞はその中で飛来しているはずだ。ライは徐々にその三重目の張摩を圧縮していく。しかし、二重の結界を破ってきたナノ爆弾にライの体は徐々に削られていく。


「このまま私が朽ちてしまえば外側のナノ爆弾が一般人を巻き込むことになるな。」


そういうとライは自身を雷神化し、二重の結界の穴の開いた部分から結界外へと飛び出しカラスの張摩の範囲を確認した。やはり10kmはあるか。残りの力ではカラスの作った張摩に穴を開けそこから覆い被せる張摩は作り出せない。となると・・・


「自然エネルギーに頼るしかないな。」


ライは雷雲を上空に呼び出し、カラスの張摩に雷を落とす。それはカラスの張摩を破壊させることなく、ライの新たな張摩となり覆い被さる。


「これで一般人への被害は食い止められたかな。」


ライの体は半分以上削られてなくなっていた。ライの作った四重の結界下ではナノ爆弾が蠢いてるだろう。しかし外にさえ漏れなれけばそれでいい。ライの体は顔面と左手ほどまでになっていた。


「さぁ、最後の仕上げだ。」


ライは残った左手でパチっと指を鳴らすと、全ての結界が圧縮されるとともに、その空間そのものを消し去った。それはもちろん、ライもろともにだった。


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