【秋葉原アンダーグラウンド】第4章 8話
シュンは間合いを詰め、高速の拳を何度も繰り出した。しかし、当たるところ当たるところシドのダイヤモンドがガードしてしまう。気付いたときにはシュンの拳はぼろぼろになっていた。
「くっそ。1分過ぎちまったじゃねぇか。」
シュンは再び距離をとり、両手の拳を服で拭った。全く攻撃が届かない。それどころかこっちがダメージを受けちまう。シュンはイラついていたが、いいだけ血を流したおかげで頭にのぼっていた血が下がり、冷静さを取り戻していた。
「じゃあこれはどう、だ!」
その掛け声と同時に、シュンの右上段蹴りがシドの左顔面を直撃する。しかし、やはり寸でのところでダイヤモンドの障壁がそれを食い止める。思わずシュンの右足から血が噴き出る。しかし、
「おらよっ!」
シュンはダイヤモンドごとシドの頭を蹴り飛ばし、そのまま反対側の壁までシドを吹き飛ばしてしまった。
「直接当たんなくても、衝撃くらいは伝わってんだろ。」
シドはがれきの中で仰向けになっていた。
「ん?さっきからウチの攻撃当たっとらんな?なんでや?」
ルナの攻撃はレンに届かなくなっていた。届かないのではない、当たらないのだ。レンは風の能力を使いルナの攻撃の軌道を読んでいたのだ。そして、レンのほうから攻撃を繰り出すまでに至っていた。
「やるな、兄ちゃん!攻撃を読むとは、達人みたいなことしよるな!」
「うるせぇ。こっちは必死なんだよ。」
レンの攻撃をひらりとかわし、ルナは両方の氷の爪を解除した。
「よしよし。2級程度ではあるみたいやな。それじゃウチのとっておき見したる。」
急に空気が凍っていく感じがした。ルナはしゃがみ両方の手を地面につけている。吐く息が白い。レンの周りの地面にも薄い氷の膜が張られていく感じがした。
「ほんじゃいくで。氷結!」
その合図とともに、辺り一面が一瞬で氷漬けになった。氷漬けになったのはレンも同じだった。
ガラッ。崩れたがれきの中からシドが立ち上がる音がした。
「やっとポケットから手抜いたか。オートガードにばっか頼ってるとなまるぜ。」
「こんなもんか?」
「ついでにしゃべってもくれるとは、やっとこっちを見てくれたな。」
シドは自身についた瓦礫の払い、シュンのほうを向く。殺気立っているのがみてわかる。
「格の違いをみせてやる。」
そういうとシドからダイヤモンドがはがれていき、竜のようなものが形作られた。その竜はそのままシュンに飛びかかってきた。シュンは空中へと攻撃をかわす。
「んなでかいドラゴン作ってもよ、こんな狭い所じゃ攻撃なんて簡単によけられるぜ。」
「空中でも自慢の能力で移動はできるのか?」
シンは避けようとしたが間に合わず、シドはダイヤモンドの拳でシュンの顔面を殴り、真下にいる竜の背にたたきつけた。あえてでかいドラゴンを出しておいて、オレが空中にしか逃げられないことを知ってそれに合わせてきやがった。戦いなれてやがる。シュンは気を失いそうになりながらもそう考えを巡らせていた。シドも竜の背に降り立つ。シュンは竜の背から踏み切り、ルナの作った壁と反対側の建物の壁を使い高速移動した。
「大したスピードだ。だが、こうしてしまえばどうだ?」
壁に着地したシュンの足が止まった。いや止まったのではない、壁に捕まったのだった。それはダイヤモンドでできた腕のようだった。
「お前の動きを追うことができなくても、初めからお前にダイヤをまとわせておけば壁のダイヤと結合する。」
気がつけばシュンたちのいる部屋はダイヤモンドに覆われていた。竜を出したのもこれに気を取られないようにするためのフェイクか。シュンは気付いたときにはシドの一撃が入り、それは壁のダイヤモンドが壊れるほどの威力だった。
