漆・桐サミット2025 11月活動報告:髙鷲 淳一(林業後継者育成)
柳津町地域おこし協力隊に着任して8か月が経ちました。
今回は、伐採現場での出来事のほか、各種行事への参加など報告したいと思います。(写真:干し柿の季節 冬の訪れの風物詩)
伐採現場での出来事
伐倒と玉切りで起きた現象
伐倒や玉切りを現場で携わっていると思わぬ事態に直面します。
ある時、伐倒したスギが近くのスギに直撃したことがありました。
普通なら枝にふれながら倒れるのですが、この時はまともにぶつかりました。その結果、当てられたスギは、立った状態でバラバラになってしまいました。大径木同士のスギがぶつかると、その衝撃は想像を超える凄まじい威力があります。
また、玉切りの際、チェーンソーのバーが挟まって取れなくなることがよくあるのですが、これを取り出そうと丸太を動かした時に予期せぬ力がかかり、バーが真っ二つに折れてしまうことがありました。
伐倒や玉切りでは、時にはとてつもない力が作用するすることを肌で感じ、危険と隣り合わせであることを知る、非常にためになる経験となりました。



ケヤキとスギ
ケヤキの大径木の伐採がありました。大きなケヤキが3本、中には直径1メートルほどのものもありました。切った丸太も非常に重く、バックホウではまともに持ち上げることができず、ワイヤロープを使ってフォワーダに載せました。この技術は素晴らしく、覚えたいと思いました。
ケヤキと言えば、かつては銘木の代表格的な樹種の一つでしたが、今は需要がなくなり、高く売れなくなりました。
同じようにスギも代表的な造林樹種であるものの、非常に値が下がり、木材としての使われ方も限られてきました。昔の住宅はスギがふんだんに使われ、柱のほか、天井板や腰板など様々な用途にに使われていました。今では柱や梁で建てた住宅よりもプレカットされた部材を組み立てる住宅が主流になったため、木材が見えない造りになってしまい、かつての需要が見込まれなくなりました。木の良さや美しさが忘れらてしまうとなれば、非常に残念なことです。



漆・桐サミット2025
11月21日、福島県会津若松市において、漆・桐サミットが開催され参加しました。
将来の国宝・重要文化財修理のためにウルシやキリの安定供給を考えることをテーマに、講演会やポスター発表、ウルシやキリの製品などの展示が行われました。前日の20日には、このサミットの関連でキリ実生苗等見学プログラムが模様され、会津農林高校と斎藤桐材店での見学が行われました。
斎藤桐材店では、キリの原木から製材品ができるまでの詳しい説明を受けました。会津桐は、会津地方特有の風土により育まれたものであるとともに、長い時間と手間をかけて出来上がります。意外だったのは、柾目よりも板目で製材した方がより美しさが際立つことがよく分かりました。原木で3年、製材後の板干しで3年から10年、さらに3年以上倉庫で熟成されて建築材や家具材などになるという、気が遠くなるような工程を経て会津桐が誕生することに驚かされます。
講演会では、漆や桐の関係者による基調講演や報告が行われ、国産漆の生産の取組や桐材を生かした琵琶製作などが紹介されました。漆や桐の良さが活かされながらも、国内での供給が減っている中、関係者の努力に明るい展望を感じることができました。




桐と桐の恵みを「おこす」植樹祭
11月22日、福島県西会津町において会津里山森林資源育成研究会主催の植樹祭が、福島県や文化庁をはじめ、関係者を集め開催され参加しました。会場は、同研究会副会長でもある斎藤桐材店の斎藤氏が所有する桐植栽地で文化庁のふるさと文化財の森に指定されています。
この植樹祭は、福島県内の桐の振興を図るため、減少傾向にあった植栽地を増やして栽培を進め、桐の文化をPRすることを目的に開催されています。
福島県が開発した育成技術である桐玉植苗の記念植樹が行われたほか、会津農林高等学校による桐苗の育成に関する発表や文化庁、林木育種センターによるプレゼンテーションなどが行われました。
また、茶道の先生による野点(のだて)や東京邦楽器商工業協同組合による琴の演奏も行われ、大変盛り上がりました。
遠くからの参加者も多く、来年春にもこの植樹祭を開催するとのことで、これからも継続していくことを願ってやみません。


森林緩衝帯の整備
今年は全国的にクマの出没や被害が非常に多く発生しました。
柳津町でもクマの出没や被害が多く見受けられ、地域の要望により町の事業で、石生、野老沢地区において里山を森林緩衝帯として整備するための調査が行われました。
自分は、事業を委託された会津里山森林資源育成研究会の業務を手伝うため、この仕事に従事しました。
調査の内容は、間伐や森林緩衝帯を設計するための現地調査で、ドローンによる空撮や標準地調査を行いました。
地元の方の話を聞くと、実際クマに干し柿を食べられるなどの被害があったそうですが、人口の減少により里山の管理が行き届かなくなってきたことが大きな原因であると感じました。


ポールウォーキング
11月13日、柳津森林公園において、森林療法×フレイル予防ポールウォーキングの事業が実施されました。
これは地域包括支援センターの事業であるポールウォーキングの参加者の方々に森林療法を体験していただくものであり、地域おこし協力隊員も多く参加しました。
今年2回目の開催となりましたが、森林療法の専門の先生を招き、森林にふれながら散策を体験する楽しい一時となりました。
町では、森林公園の整備を検討しており、今後の活用が期待されています。

地域交流活動
町の地域包括支援センターが行う地域の交流活動が行われ、地域おこし協力隊もこの活動に協力するため参加しています。
自分も11月26日、大成沢地区において開かれた交流活動に参加しました。
これまで高齢者の老化防止のため、ストレッチ体操などを主に行って来ましたが、地域の要望に合わせ様々なメニューを取り入れています。
地域おこし協力隊の活動を知っていただく良い機会でもあり、今後も他の協力隊のメンバーと共に参加して行きたいと思います。

赤べこファン大感謝祭
11月3日、「赤べこの日」認定を記念して、道の駅会津柳津において「赤べこファン大感謝」等が開催されました。
地域おこし協力隊でも出展を計画し、赤べこの木版体験ができるブースを設け、地域おこし協力隊をPRしたチラシや記念品を制作し、隊員9名全員で協力し参加しました。
当日はあいくの空模様でしたが、来場者の皆様に楽しんでいただき、少しでも地域おこし協力隊のことを知っていただく良い機会になりました。



「せど森の宴」体験プログラムの開催(結果)
11月29日、秋・冬の「2025せど森の宴」(奥会津体験博覧会)で、スウェーデントーチを作る木工体験プログラムをに開催しました。
今回募集したところ3名の参加があり、予定どおりできました。
参加者から、「とても楽しく過ごせました!また機会があれば参加したい」などのお言葉や高い評価をいただき、ありがたく思いました。
来年も材料の丸太を取りそろえ、より楽しめる内容にして開催したいと考えておりますので、多くの方に参加していただければと思っております。
再開催のリクエストも受け付けておりますので、詳しくは、せど森の宴公式Webサイトをご覧ください。


