Day283で宣言した"3つの返済"、全部やってみた。結果と、想定外の発見
こんにちは!YaroTechです。
※見出し画像のプロンプトは一番下におまけで公開中!
ちょうど1週間前のDay283で、私は「便利負債」という言葉を持ち出しました。仕組みを理解しないまま便利を積み上げた先に、突然届く請求書のこと。あの記事では、3つの返済アクションを宣言して終わりました。
「配布物の棚卸し」「Allowed Directoriesの見直し」「導入前の1分」。
宣言だけで終わらせるのは、便利負債と同じくらい良くない癖です。なので今日は、それを実際に1週間かけてやってみた結果の報告を書きます。
そして、想定していなかった発見が1つありました。便利負債の中に、「進化負債」という別のレイヤーが混ざっていたという話です。
関連記事: 概念と宣言の元記事はDay283: 「MCPで人生変わった」と叫んでから283日。そろそろ"便利負債"の請求書が来るかもしれない話です。本記事はその実践編・続編にあたります。
🖥️ 実行環境
執筆PC: ThinkPad X1 Carbon Gen 13(Core Ultra 7 258V / 32GB RAM / Windows 11 Home)
棚卸し対象: 上記X1 Carbon + メインPC(Core i9-12900T) + Surface Laptop 7(Snapdragon X Elite / ARM64)の計3台
対象ツール: Claude Desktop + 各種MCPサーバー、DXTファイル
🎯 この記事で得られること
3台のPCに入っていたMCPサーバーを全部洗い出した結果(リアルな数字)
Claude本体の進化が「自作MCP」を陳腐化させていたという発見(=進化負債)
Allowed Directoriesの見直しで気づいた「念のため広く」の落とし穴
便利負債の返済を「1回きりのイベント」で終わらせないための次のステップ
返済その1: 配布物の棚卸し — 3台で17個のMCPを洗い出した
まず、Day283で宣言した1つ目「配布物の棚卸し」から取り組みました。
DXTファイル: 0個
最初に確認したのは、自分で作ったDXTファイル(Claude Desktop拡張パッケージ)です。結論から言うと、実際に配布・運用しているDXTファイルは0個でした。
PC間で共有するために何度か検討はしたものの、実用化までは至っていなかったのです。ここは負債の発生源にはなっていませんでした。ただ、もし作って配っていたら、配布先のPCも棚卸しの対象に含めなければいけなかったわけで、「作っていたら見直しが必要だった」という気づきは残しておきます。
3台のMCPサーバー一覧
DXTがゼロだった一方、MCPサーバーは話が別でした。3台合わせて17個入っていました。
X1 Carbon(執筆用ノート): 4個
Filesystem
PDF Tools
blender
unityMCP
すべて用途が明確(VRChat/メタバース系の制作作業を含む)で、削除候補は0個。最初から最低限で運用していたPCでした。
メインPC(デスクトップ): 4個
Filesystem
blender
unityMCP
n8n(先週追加)
こちらも削除候補は0個。n8nは先週入れたばかりで、自動化用途が明確なので、これは「導入前の1分」を意識して入れた新規MCPに該当します。
Surface Laptop 7(実験用サブ): 9個 ⚠️
Filesystem(拡張機能版)
PDF Tools
filesystem(小文字・自作)
excelMcpServer(自作)
browser-automation(自作)
blender
pdf-reader(自作)
screenshot(自作)
visual-browser-mcp(自作)
ここに便利負債が集中していました。9個のうち5個が自作MCP。実験のために入れて、そのまま掃除されずに残っていたパターンです。
棚卸しの判定結果
確定で削除すると決めたのは2個。excelMcpServerとbrowser-automationです。理由は次のセクションに書きますが、要するに「Claude本体が進化して、これら自作MCPの役目が終わった」からです。
それとは別に、機能が重複している可能性のある3個(filesystem小文字、pdf-reader、screenshot/visual-browser-mcp)が見直し対象として残りました。これは、Day289の時点ではまだ判断を保留しています。
集計すると、3台合計17個 → 12〜14個に削減見込み。SLは9個 → 4〜6個まで絞れる計算です。
ここで気づいたのは、便利負債が「発生しやすいPC」と「発生しにくいPC」があるという構造的な事実でした。X1とメインPCは普段使い・本番作業のPCなので、入れるMCPに対して自然と慎重になる。一方、SLは自作MCPの実験場として使っていたので、試して放置する循環が生まれていました。これは性格の問題ではなくて、PCの役割の問題として整理できる気づきです。
想定外の発見: Claudeが進化して、自作MCPが要らなくなっていた
棚卸しの過程で、私はDay283を書いた時点では予想していなかった事実に気づきました。
Claude本体側の進化が、私の自作MCPを陳腐化させていたのです。
具体的には、こうです。
かつて自作したexcelMcpServerは、Claude in Excel(Excel拡張機能)の登場で役目を終えました
かつて自作したbrowser-automationは、Claude in Chromeの登場で役目を終えました
どちらも、私が「公式機能では足りない」と感じて自分で作ったMCPでした。当時はちゃんと役に立っていたのです。でも、Claude側がその領域に公式機能を出してきた瞬間に、自作版は動いているけれど存在意義が消えるという状態になりました。
これは、Day283で書いた便利負債とは少し角度が違う負債です。私はこれを「進化負債」と呼ぶことにしました。
便利負債は「仕組みを理解しないまま積み上げた便利の請求書」でした。進化負債は、「土台側が進化したのに、その上に載せた古い自作物を放置したことで生まれる無駄」です。
「動いているから触らない」というのは、エンジニア的にはむしろ正しい判断のことが多い。でも、土台が進化したケースに限っては、動いているままの古い実装を残すことが、新しい便利の選択肢を見えなくするという副作用があります。SLにexcelMcpServerが残っていたせいで、Claude in Excelをきちんと試そうという気持ちが、これまで湧いていませんでした。
「便利負債」シリーズの兄であるDay276: AI駆動開発の落とし穴:速く作れても"理解負債"で詰む話では「理解負債」を扱いましたが、こうやってシリーズの中に新しい負債概念が増えていくのは、棚卸しを実際にやらないと出てこなかった発見です。
返済その2: Allowed Directoriesの見直し
2つ目の宣言、Allowed Directoriesの見直しにも手を付けました。
これはClaude DesktopのFilesystem MCPで、「どのディレクトリへのアクセスを許可するか」の設定です。Day283では「念のため広く開けておく、は便利負債の典型」と書きました。書いた本人のPCに、まさにそれがありました。
見直し結果はこうです。
メインPC: Downloads / Desktop\My project / D:\丸ごと
このD:\丸ごと許可、まさに「念のため広く」の典型例でした。実際にはAIToolsなど特定のサブディレクトリしか使っていないのに、ドライブ単位で開けていた。当面はこのまま運用しつつ、必要なサブディレクトリに絞り込む方向で次のリビジョンに反映する予定です。
SL: N:\(NASドライブ) / Downloads
NAS接続は用途が明確(家庭内ファイル共有)なので、これはOK。
X1 Carbon: Claude Chat経由のFilesystem MCPで、引数レベルでディレクトリを制御
X1は構造的に絞り込まれているので、相対的に安全な状態でした。
ここで重要なのは、「広く開けることが悪い」ではなく、「広く開けていることを自分が把握しているか」だということです。把握した上で広いなら問題ありません。でも、「いつの間にかこんなに開けていた」状態は、便利負債そのものです。
返済その3: 導入前の1分 — n8n MCPで実践してみた
3つ目の宣言、導入前の1分。これは、新しいMCPを入れるときに「動くか」だけでなく「何を渡すか(どんな権限と情報フローを許可するか)」を1分でも考える、という小さな習慣のことです。
ちょうど先週、メインPCにn8n MCPを1個追加しました。これがDay283以降の最初のMCP導入だったので、宣言通りに「導入前の1分」を意識できたかを振り返ります。
判断のポイントは2つでした。
用途が明確か: n8nの自動化フローをClaudeから操作したい、という具体的なニーズがあった → OK
入れるPCを必要最小限に絞れるか: 全PCに入れる必要はない、メインPCだけでいい → 必要な1台だけに限定
「全部のPCに入れる」と「必要な1台だけに入れる」は、目に見える差はわずかですが、3年5年と積み上げると、棚卸し時の負担が桁違いに変わってきます。今回SLが9個に膨らんでいたのは、まさにこの判断を当時していなかったツケでもあります。
正直に書くと、「導入前の1分」は完璧な習慣にはまだなっていません。でも、「入れる前に考える瞬間が一拍だけ生まれた」のは確かです。これだけでも、Day283を書いた価値はあったと思います。
Day1: Claude DesktopのMCPで人生変わった話 - filesystem編を書いてから289日。原点のFilesystemは、3台すべてで今も生き残っています。これは、最初から用途が明確で、入れる前の1分が無意識にできていたMCPだったから、と振り返って思います。
次のステップ: 人間が点検するのではなく、AIに点検させる
ここまでで、Day283の3つの宣言はひととおり実行できました。でも、棚卸しを1週間かけて手動でやってみて、強く感じたことがあります。
便利負債の返済は、1回やって終わりではない。
Day283の冒頭で「家計簿をつけながら」というたとえを使いました。家計簿は、月に1回つけるからこそ意味がある。半年に1回しかつけなかったら、それはもう家計簿ではなくて「半年に1回の遺産整理」です。便利負債も同じで、定期的にチェックしないと、また同じだけ積み上がります。
そこで次に考えているのが、システム環境チェック担当のエージェントを作ることです。
具体的にはこんな役割を想定しています。
定期的にMCPサーバー一覧、Allowed Directories、各MCPのバージョンを取得する
不要そうなMCPや過剰そうな権限を検知して、私に報告する
「先週新しく入ったMCP」「3ヶ月以上動いた形跡のないMCP」などを可視化する
要するに、便利負債の点検作業を、AIに委任するという発想です。
ここには入れ子構造があります。便利を「やめる」のではなく、便利を「管理するための仕組み」を、また便利に作る。これは皮肉でもなんでもなくて、デジタル時代の負債管理の素直な進化形だと思います。家計簿アプリが銀行と連携して自動で記帳してくれるのと、構造としては同じです。
このエージェントの構築自体が、Day289以降の記事ネタになります。「AIで便利を管理するAI」を作る話。我ながら、入れ子になりすぎていて少し笑えます。
🔗 関連記事
今回の内容に関連する過去記事もぜひご覧ください:
Day283: 「MCPで人生変わった」と叫んでから283日。そろそろ"便利負債"の請求書が来るかもしれない話 — 本記事の前編・概念提示と3つの宣言
Day276: AI駆動開発の落とし穴:速く作れても"理解負債"で詰む話 — "負債"シリーズの兄
📝 まとめ
Day283で宣言した3つの返済を、1週間かけて実行しました。
3台合計17個のMCPを洗い出した結果、SLで確定削除2個・見直し3個。12〜14個まで絞り込める見込みです。Allowed Directoriesも、メインPCのD:\丸ごと許可という典型的な「念のため広く」を発見しました。
そして想定外の発見として、Claude本体の進化(in Excel / in Chrome)が私の自作MCPを陳腐化させていた、という**「進化負債」**の存在に気づきました。便利負債シリーズに、新しい角度が1つ増えました。
便利負債の返済は、1回きりのイベントではなく、家計簿のように継続的なルーティンです。次のステップは、その点検作業自体をAIに委任する保守エージェントの構築。便利を管理する仕組みを、また便利に作る、という入れ子構造に進みます。
🚀 次回予告
Day290(4/28・火)は、「AIに詳しくなると仕事は減る?増える?」。Day57で書いた話への、290日経った今からの追伸です。便利負債の返済が一段落したタイミングだからこそ、改めて立ち止まって考えてみる回にします。
🎨 おまけ:見出し画像作成プロンプト
今日の見出し画像のベースはチャッピー(ChatGPT)に下記プロンプトで作成してもらいました!
柔らかな照明で撮影された超現実的でプロフェッショナルな写真を作成してください。
下記条件のnote見出し画像をサイズは横長で作成してください。サイズは必ず横長で作成してください。
## 🎨 見出し画像案
### デザインコンセプト
- **背景**: 朝の柔らかな自然光が差し込む木目の机の上(Day283の「夜の机」からの転換、爽やかさと達成感)
- **メインビジュアル**: チェック済みのリスト3枚(「配布物棚卸し ✅」「Directories見直し ✅」「導入前の1分 ✅」)が中央に重ねて配置
- **サブビジュアル**: 背景に3台のノートPCがシルエットで横並びに配置(X1 / メインPC / SL を象徴)
- **テキスト要素**: 「PAID」のスタンプ風要素+「17 → 12」の数字が見える
- **装飾**: 朝のコーヒーカップ、万年筆、観葉植物の柔らかい影
### 作成手順
1. スライドサイズ(1536×1024px)の横長フォーマット
2. 朝の机のフォトリアルな背景を生成(Day283の「夜」から「朝」へ転換)
3. チェック済みリスト3枚を中央に配置
4. 3台のPCシルエットを背景に
5. 「PAID」スタンプと数字(17→12)を配置
6. テキストを3段構成で追加
7. 下部中央寄りに「YaroTech」のロゴを12ptで控えめに配置
8. 全体のバランスを確認して完成#YaroTech #AI活用 #生成AI #MCP #ClaudeDesktop #便利負債 #進化負債 #棚卸し #実践レポート #note289日目
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