毎回くり返してた"4つの説明"が、ゼロになった ― RPAのノウハウを、AIの"スキル"に畳んだ記録
こんにちは!YaroTechです。
半年ほど前、「コピペで動くRPAフローの作り方」という有料記事を書きました。Power Automate Desktop(以下PAD)の内部言語=Robin言語を、AIに生成させてそのまま貼り付けて動かす、という内容です。おかげさまで今も読んでいただけている、思い入れのある一本です。
でも、白状します。あの記事を書いたあとも、私は毎回おなじ説明をくり返していました。
新しい自動化を作りたくなるたびに、クロ助(Claude Desktop)に「JavaScriptは `function ExecuteScript()` で囲んでね」「Googleフォームのボタンは role 属性で取ってね」と、前提を一から伝え直していたのです。記事に書いたはずのノウハウが、AIの頭には毎回残っていない。当たり前なんですけど、地味にめんどくさい。
そこで今回、その"作り方"そのものを、AIが二度と忘れない1枚の「スキル」に畳み直しました。結果、「経費のExcelをGoogleフォームに自動入力するPADフロー作って」と一言いうだけで、ルールを全部守ったコピペ可能コードが一発で返ってくるようになりました。
そしてもう一つ、ここが今回いちばん伝えたい点です。畳んだのは4つのルールだけではありません。そもそも生成AIに「このフローのRobinコードを書いて」と頼んでも、"それらしいコード"は出るのにPADに貼ると動きません。
RobinはPAD内部の独自言語で、世の中にほとんど情報がないからです。
だからこのスキルには、4つのルールに加えて、Robinという言語そのものの組み立て方(文字列の書き方、戻り値の受け方、変数の展開、日付の変換…)を丸ごと詰め込みました。
出てくるのは"それっぽいコード"ではなく、PADにそのまま貼って動くRobinコードです。
この記事は、「ノウハウ記事」を「AIのスキル」に変えるという次の一手の記録です。前作の続編にあたります。
※見出し画像のプロンプトは一番下におまけで公開中!
🖥️ 実行環境
PC: ThinkPad X1 Carbon Gen13(Windows 11 Home 25H2・RAM 32GB・非ARM)
AI: Claude Desktop(クロ助)+ filesystem MCP(PCのファイルを直接読み書きする連携)
RPAツール: Power Automate Desktop v11.2512.163.0(無料版)
ブラウザ: Microsoft Edge + PAD拡張機能
対象スキル: `pad-flow-generator`(Robin言語フロー生成スキル・v3.1)
PADは「無料版(Windows標準)」のまま、追加課金なしで動かしています。
🎯 この記事で得られること
「ノウハウ記事」と「AIのスキル」は何が違うのか、が腑に落ちる
自分が何度も説明している"暗黙のコツ"を、AIに固定化する考え方がわかる
PADフロー生成スキルの設計思想(何を1枚に畳んだか)が見える
素のAIでは作れない「PADにそのまま貼って動くRobinコード」を、一言で出せるようになる仕組み
(有料)実際のスキルの要点抜粋(動くRobinコードの一部も公開)と、Claude Desktopへの導入手順
(有料)スキルが"発動しない・詰まる"を防ぐ、つまずきの直し方
プログラミングが苦手でも大丈夫です。コードよりも「何を・なぜ畳むのか」を中心に書きます。
📊 実際の成果(Before / After)
Before(前作を書いたあとの私)
新しいPADフローを作るたびに、クロ助へ毎回こんな前置きをしていました。
「JavaScriptは `function ExecuteScript()` で囲まないと動かないよ」
「Googleフォームのボタンやラジオは role 属性で取ってね」
「ドロップダウンは開いてから選ぶから setTimeout で待ってね」
「日付は yyyy-MM-dd に変換してから入れてね」
毎回この4点セットを口頭で伝えてからが、ようやくスタート。地味に3〜5分のロスでした。
しかも前置きを省いて「Robinで書いて」とだけ頼むと、返ってくるのは"それらしいけど動かないコード"。RobinはPAD内部の独自言語なので、素のAIは正しく組み立てられず、結局やり直しでした。
After(スキルに畳んだあと)
いまは、こう言うだけです。
「経費のExcelをGoogleフォームに自動で入力するPADフローを作って」
すると、上の4つのルールを全部守った状態で、コメント付き・コピペ可能なRobinコードが一発で出てきます。前置きゼロ。説明したのは一度きり、それも"AI向けに"書いただけ。
つまり変わったのは、「ノウハウの置き場所」です。記事は人間の頭に残す。スキルはAIの作業手順に残す。同じ知識でも、置き場所を変えるだけで再現性がまったく違いました。
🚀 実践内容
アプローチ1:そもそも"スキル"とは何か ― 記事とスキルの違い
最初に、いちばん大事なところを整理します。「ノウハウ記事」と「AIのスキル」は、見た目はどちらもただの文章(Markdown)です。でも役割が正反対です。
記事は「人が読んで、人が再現する」もの
前作のRobin記事は、人間の読者に向けて書きました。読んだ人が理解して、自分の手で再現する。だから読みやすさ・例え・ストーリーが大事でした。けれど、再現できるかどうかは読者の記憶と手作業しだいです。そして当然、AIは私の記事を毎回読み返してはくれません。
スキルは「AIが読んで、AIが再現する」もの
スキルは、AIに渡す"作業マニュアル"です。`SKILL.md` という1枚のファイルに「いつ使うか」「どう作るか」「やりがちな失敗」を書いておくと、Claude Desktopが必要なときに自動でそれを読み込み、その通りに動いてくれます。再現するのは人ではなくAI。だから一度ちゃんと書けば、以後は毎回おなじ品質で出てきます。
ざっくり言うと、こういう違いです。
記事:一回読む/再現は人の記憶と手作業/読みやすさ重視
スキル:毎回AIが自動で読む/再現はAIが担保/正確さと条件分岐重視
ここがピンとくると、「自分が毎回説明していること、ぜんぶスキルにできるのでは?」という発想が湧いてきます。実際そうなんです。
アプローチ2:スキルの設計思想 ― 何を「1枚」に畳んだか
では、前作のRobinノウハウを、どんな考え方で1枚に畳んだか。`pad-flow-generator` スキルで意識した設計の柱は5つです。ここが今日いちばん伝えたい"考え方"の部分です。
① 「いつ使うか」を冒頭で宣言する(トリガー設計)
スキルは、置いておくだけでは発動しません。ファイルの先頭に「どんな依頼のときに自分を使うべきか」を書いておくことで、AISが自動で判断して読み込みます。「PADフローを作成」「RPA」「Googleフォームに自動入力」「Excel連携でWebフォーム入力」――こうした言葉が出たら必ず使う、と明記しました。これが弱いと、せっかく作っても発動してくれません。
② 最初に"分岐"を決めさせる(タスク判定)
依頼が来たら、まず「Webフォーム入力なのか/Excelデータ処理なのか/ファイル整理なのか/その組み合わせか」を仕分けるルールを冒頭に置きました。初手の方針がブレないので、的外れなコードや確認漏れが減ります。
③ "動かない原因"を先回りで潰す(必須ルールの明文化)
前作で最大の発見だった「PADのWeb操作はUI要素の定義が必要で、コピペでは動かない → JavaScript方式で回避する」という肝を、スキルの中核に据えました。とくに大事なのが、JavaScriptは `function ExecuteScript() { }` で囲まないと一切実行されないというルール。これを"必須"として強調しておくことで、AIが生成するコードが最初から動く形になります。
④ 一度ハマった罠を、そのまま教訓として残す(トラブルシューティング)
「ドロップダウンが選べない→ setTimeout で遅延実行」「日付が入らない→ yyyy-MM-dd に変換」「Googleフォームの要素が見つからない→ role 属性で取る」。私が実際にハマって解いた落とし穴を、解決策とセットでスキルに焼き付けました。自分の失敗が、AIの初期装備になる感覚です。
⑤ どのPCでも動くように"場所"を固定で書かない(環境非依存)
これは地味ですが効きました。最初のスキルは保存先パスを特定のPC用に固定で書いていて、別のPCで動かすと破綻したんです。「保存先はユーザー指定を優先、未指定なら確認する」という書き方に直して、X1でもメインPCでもそのまま使えるようにしました。
この5つが、「毎回の説明」を「一度きりの設計」に変える勘どころでした。
そして繰り返しになりますが、これら5つの土台にあるのが、「Robinという言語そのものの書き方」をスキルに丸ごと入れていることです。素のAIはRobinをほぼ知らないので、文字列の囲み方・戻り値の受け取り方・変数の展開・日付の変換…といった独自文法を持たせて初めて、"動くコード"を組み立てられます。だから出力は"それっぽいコード"ではなく、PADにそのまま貼って動くRobinになります。
ここまでが、考え方の話です。
スキルの構成(全体像)
参考までに、`pad-flow-generator` スキルがどんなブロックでできているか、骨格だけ先にお見せします。ざっくり7つです。
冒頭の宣言(フロントマター):このスキルが「いつ使われるか」を書く
タスク判定:Web入力/Excel/ファイル整理/組み合わせ に仕分ける
JavaScript必須ルール:`function ExecuteScript()` で囲む等の絶対ルール
Robin構文クイックリファレンス:変数・制御構文・日付変換
主要アクション集:Excel起動・読み書き、ブラウザ起動、Web操作
Googleフォーム実証済みテンプレート:経費入力フロー一式
トラブルシューティング:ハマりどころと解決策
骨格はこの7つです。この中の「これがあるから一発で動く」という"効く部分"の中身――実際のRobinコードや、つまずきの回避策――を、ここから先で具体的に見せていきます。
ここから先は、実際のスキルの中身(効く部分の抜粋)と、Claude Desktopへの導入手順、そしてスキルが"発動しない・途中で詰まる"を防ぐ具体的な直し方を、まるごと解説します。前作のRobinコードを「毎回手で貼る」から「言うだけで出てくる」に変えたい方は、ここからが本編です。
肝心な内容に入る前に「関連記事」と「次回予告」を先にさせていただきます。
🔗 関連記事
今回の内容に関連する過去記事もぜひご覧ください:
AIでRPAフローを自動生成する方法|コピペで動くPower Automate Desktop活用術(前作・Robin言語の作り方を解説した有料記事)
そのAI設定、最後に見直したのはいつですか?Claude Desktopのスキル棚卸しで見えた"スキル負債"(スキルを"持ちすぎる"問題の話)
「コードが書けないと無理」だと思ってた ― バイブコーディングは、普通の社会人の"雑用"こそ救う(ノウハウを"道具"に変える発想の話)
🚀 次回予告
自分のノウハウを"スキル"に畳む話、まだ続きそうです。次回も、手元の「めんどくさい」をひとつ、AIの道具に変えていく予定です。お楽しみに!
🔧 スキルの中身(要点抜粋)
`pad-flow-generator` スキルの骨格は、ざっくり7つのブロックでできています。
冒頭の宣言(フロントマター):このスキルが「いつ使われるか」を書く
タスク判定:Web入力/Excel/ファイル整理/組み合わせ に仕分ける
JavaScript必須ルール:`function ExecuteScript()` で囲む等の絶対ルール
Robin構文クイックリファレンス:変数・制御構文・日付変換
主要アクション集:Excel起動・読み書き、ブラウザ起動、Web操作
Googleフォーム実証済みテンプレート:経費入力フロー一式
トラブルシューティング:ハマりどころと解決策
無料パートで骨格として挙げた7ブロックのうち、「これがあるから一発で動く」という"効く部分"を、実際のコードごと抜粋します。
効く部分①:トリガーを宣言するフロントマター
ファイルの先頭に、こんな宣言を置いています(要約)。
ここから先は
記事がお役に立てたなら嬉しいです! いただいたチップは、新しいMCPツールの検証や、より深い実践実験の資金として大切に使わせていただきます。 あなたの応援が次の「AI活用の感動」を生み出す原動力になります✨ 一緒に羽ばたき続けましょう!
