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4/20|春の終わりを濡らす

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4/20|穀雨


春も終わりに近づく頃、「穀雨(こくう)」という季節が訪れる。二十四節気のひとつで、太陽暦では4月20日頃から5月4日頃までを指す。文字通り、穀物に恵みを与える雨が降る時期だ。農作物の種まきを終えた大地に、しっとりと雨が降り注ぎ、若い芽を包み込むように育てる。この雨は、ただの「雨」ではなく、命を育む雨なのだ。

古来より日本人は、自然の営みを繊細に観察し、その変化に美しい名前をつけてきた。穀雨もまた、自然と共に暮らしてきた人々の知恵と感性の結晶だ。春の終わり、そして初夏の始まりを告げる節目として、この言葉にはどこかしっとりとした余情がある。

穀雨の頃になると、木々はさらに青みを増し、田畑には苗が根を下ろす。田んぼに水が張られ、空を映し、風が吹くと波紋が広がる。春先には硬かった大地も、今やふくよかに水を含み、命の気配に満ちている。

街中にいても、穀雨を感じることはできる。急に通り雨が降ってきたり、傘に当たる雨音が心地よかったり。アスファルトにできた水たまりに、桜の花びらが一枚浮かんでいると、それだけで季節の変わり目を実感する。土の匂い、濡れた緑の匂いが鼻先をくすぐると、自然のリズムの中に自分も生かされていることを思い出す。

雨というと、どこか憂鬱なイメージがつきまとうかもしれない。しかし、穀雨の雨は、未来を育む雨。農家にとっては、大切な雨であり、待ち望む雨である。種をまいて芽吹くのを待つ時間は、希望に満ちた静けさだ。

私たちもまた、自分の中に小さな種を蒔くような時期がある。新年度を迎え、新しい環境に少しずつ慣れ、次の一歩を踏み出す準備をしているこの頃。そんな今、しっとりと降る雨に心を預けてみるのもいい。焦らず、静かに、自分の中にある可能性が芽吹くのを待つ。穀雨は、そういう季節なのかもしれない。



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八坂みつ いつもありがとうございます。夜ご飯が豪華になります。