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4/19|地図と風景

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4/19|地図の日


4月19日は「地図の日」。1800年(寛政12年)に、伊能忠敬が日本地図の作製に向けて最初の測量の旅に出発したことを記念した日である。忠敬は55歳という年齢でこの大事業に着手し、17年もの歳月をかけて全国を歩き、日本初の実測地図を完成させた。その偉業を称え、この日は「最初の一歩」を記念する日とも言える。

地図というものは、単なる案内図以上の意味を持つ。地図を開けば、まだ見ぬ土地の気配が立ちのぼってくる。山と川のかたち、道の交差、海の広がり。その情報の網の中に、人は思いを馳せる。旅に出たくなる、あるいは過去の旅を思い出す。地図とは、時に羅針盤であり、記憶のアルバムでもある。

私たちは今、スマートフォンで簡単に地図を開き、現在地も目的地も即座に知ることができる。道に迷うことすら少なくなった。しかし、かつては紙の地図とにらめっこしながら歩いた。道を間違え、人に尋ねて、道端の風景に助けられて目的地にたどり着いた。その「迷い」も、旅の一部だったのだ。

地図の上では、全ての道が等価に見える。だが、実際に歩いてみると、その道には坂があったり、季節の花が咲いていたり、風が抜ける音が心地よかったりする。地図は完全ではない。だからこそ、人の足と目と心が、それを補っていく。

伊能忠敬の地図は、ただ精密なだけではない。彼が踏みしめた道の数々、その旅の時間すべてが折り重なって、あの地図を作った。江戸から蝦夷、九州まで、実際に歩いた距離は4万キロを超える。現代の日本地図と比べても精度が高く、その情熱と誠実さにはただ頭が下がる思いだ。

地図を手にして、旅に出たくなる日。知らない街角を歩きたくなる日。それが「地図の日」である。スマホをポケットにしまって、紙の地図を広げて歩いてみる。思いがけない道や景色が、あなたを待っているかもしれない。




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