世界中で山火事が同時多発 ― 時間差でやってくる「静かな危機」
台風に熊本地震、そして海外では山火事のニュースが止まりません。
国内外で災害が重なる夏
最近は国内でも台風や熊本地震など、災害が同時進行している状況です。
予断を許さない毎日ですが、目を海外に転じると、今度は世界各地で山火事のニュースが相次いでいます。
特に夏に入ってからの気温上昇が影響しているのでしょうか。
世界中で、同じ時期に複数の国で山火事が同時多発的に起きているのが、今年の大きな特徴のように感じます。
ヨーロッパを二度襲った山火事
ヨーロッパでは、実は7月に入ってから山火事の波が二度続いています。
まず7月上旬には、ポルトガル、スペイン、フランス、ギリシャの4か国にまたがり、合わせて約2万ヘクタールが焼失しました。
フランス南部のピレネー山脈のふもとでは強風にあおられて火が制御できなくなり、5千ヘクタールが燃え、1万人以上が避難する事態になっています。
フランスの内務大臣は7月6日、5つの県で火災が拡大していると述べ、この年のフランスの焼失面積は前年同時期の2倍に達しているとしています。
同じ頃、ギリシャ北部のテッサロニキ近郊でも火が2つの工場に燃え広がり、周辺3地域に避難勧告が出されました。
そして7月下旬には、さらに規模の大きい火災がスペインとフランスを襲いました。
スペインでは7月20日以降、首都マドリード周辺で東京ドームおよそ9,600個分にあたる約4万5千ヘクタールが焼失。
フランス南西部、ボルドー近郊のカップフェレ半島でも7月23日以降、東京ドームおよそ8,500個分にあたる約4万ヘクタールが燃え広がりました。
いずれも、東京都全体の面積のおよそ2割に匹敵する広さです。
7月26日時点で、フランスとスペイン合わせて30万人以上が避難し、スペイン東部では1人が死亡したと報じられています。
高温と乾燥が続いたことが延焼拡大の背景とみられていますが、出火そのものの原因はまだ特定されていません。
7月27日に現地の気温はいったん落ち着いたものの、7月29日時点でも延焼防止の対策が急ピッチで進められており、すでに1週間以上、火が収まらない状態が続いています。
アメリカも過去10年で最悪の水準に
アメリカでも、今年の山火事は過去10年で最悪の水準に達しています。
全米省庁合同火災センターによると、5月時点で東京都の面積の4倍近くにあたる約190万エーカー(約7,700平方キロメートル)が焼失し、過去10年平均を8割近く上回る規模です。
さらに8月に入り、ワシントン州で新たな山火事が相次いでいます。
8月1日には州内で10件以上の山火事が発生し、強風と高温を受けて州全域に非常事態宣言が出されました。
焼失範囲は1,000平方キロメートル以上、東京都の面積のおよそ半分に及びます。
およそ6万人に停電の影響が出たほか、8月3日時点でおよそ5千世帯が避難し、600棟近い建物が被害を受けたとされていますが、死者やけが人はこれまでのところ報告されていません。
なぜ被害の全体像が見えにくいのか
同時に複数の地域で火災が起きると、それぞれの規模は非常に大きな出来事であっても、ニュースの扱いが分散してしまいます。
一つひとつの被害の深刻さが伝わりにくくなるように感じます。
国内でも地震や台風のニュースが続いているため、どうしても海外の災害への関心は薄れがちです。
「明日は我が身」と思う余裕すらないというのが、正直な実感です。
過去と比べても際立つ「同時多発」
気温が上昇していること自体は、今年に限った話ではありません。
2021年にはトルコとギリシャで大規模な山火事が起き、ギリシャだけで推定12万7千ヘクタール以上が焼失、当時としては過去20年間で最大級の被害とされました。
今年はそれに匹敵する規模の火災が、複数の国・複数の大陸で同時期に起きている点が異なる特徴だと言えそうです。
時間差でやってくるリスク
こうした世界的な被害は、時間差で私たちの暮らしにも影響してくるはずです。
その代表例が、食料価格や供給への影響でしょう。
オリーブオイルや小麦、ワイン用ぶどうの産地が、今回の被害地域と重なっています。
産地の被害が価格に反映されるまでには数か月のタイムラグがあることが多く、食卓に影響が表れるのはむしろこれからかもしれません。
遠い国の出来事のようでいて、実は数か月後の家計に静かにつながっている。
そう考えると、日々のニュースの見方も少し変わってきます。
こうした「時間差の危機」に対して、個人でできることは限られていますが、日頃から食品の在庫を少し多めに持っておく、値上がりしやすい品目を把握しておく、といった小さな備えは無駄にならないはずです。
特別なことをする必要はなく、いつもの買い物のときに少しだけ意識を向けるくらいで十分だと思っています。
心配し始めるときりがありませんが、まずは今起きていることを知ること、そして少しずつでも意識を向けておくことを、これからも続けていきたいと思います。
