見出し画像

竹に編み込まれた記憶をたどる

津山城の石垣と空の風景の中を

二の丸を過ぎ本丸へと進む途中に、森の芸術祭の作品
が設置されている。作品名はアシム・ワキフ氏による
竹の鼓動。石垣の持つ静けさと対比するような躍動感
で編み込まれた竹のインスタレーションが姿を現す。

今回の旅の目的は、森の芸術祭の作品をたどるものでもあり
石垣が続く風景の中に現れた作品は、竹がしなやかに
幾重にも折り重ねられている。また竹の丸太は力強く、
分割された板は、その周囲をうねるように配置され
竹という素材によって、奥行きのある空間が作られている
そこでは直線と曲線が混じり、竹籠のように編み込まれたり
重ねられては竹の壁のように密度を増す
竹は自由な意思を持つように、石垣の静けさを
切り取るように、浮かび上がらせるように
大木に沿い、木々の記憶を表出するような竹の動き
竹の鼓動を感じ、楽器のようにもなった作品を楽しみながら
そこにある緑を取り込み、風景と一体となり、自由な形で
造形された竹の作品は、静けさをたたえた石垣が続く空間に
うねり、重なり、めまぐるしく入り組んで
鼓動を生み出し、時間と空間に動きを与えている
角度をかえれば、10mもの長さの竹の丸太に編まれるように
作品は竹の持つ強さとしなやかさが一体となって
津山城の石垣とも対話するように設置されている

その作品は空間も、そして時間をも内包するようで


竹に囲まれた空間に、かつての竹の記憶を思い起こす

それはもう10年も前のこと。大地の芸術祭での

公園の中に設けられた竹で編み込まれた
トンネルのような作品を思い出す
竹の丸太が連なるトンネルを、当時まだ幼かった子どもたちは
何度も楽しそうにくぐり、走り回って

子どもたちも大きくなり、一緒に旅することは少なく

なったけど、2年前の大分の竹田への旅では
直線的な竹に包まれたアプローチの建物で
それなりに楽しんでくれたみたいで

旅するほどに、素材が作り出す風景への出会いを重ね

竹垣で囲われた通路の先の、歌人のゆかりの地も訪れて
しなやかに伸びる竹林の中で、柔らかに落ちる光

竹の記憶は、無数に連なる竹林の風景につながり

繊細な葉の連なりが、拡散させる光の風景を
見上げ、その空気を感じことを思い起こさせる


津山城の石垣の間に、編み込まれた竹の作品に


かつての竹にふれた記憶が呼び戻され、いつかの旅の
風景を重ねる。その躍動感のある作品は、石垣が作り
出す静けさを持つ時の層に、うねりを生み出している。
竹の力強さや、しなやかさは見るものの感覚を刺激し、
心にできた波紋は、記憶の中の風景へと広がっていく。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集