街の残像を重ねるように
街に息づく人々の記憶
切り取られる風景。重なる残像。鉄格子の傾き、
沈んだ色のレンガ。光の滲んだガラスブロック。
街に置かれた一瞬に目を留める。時間を帯びた
建物は、記憶を重ねるように街の中にそっと建つ。

ウサギの穴から抜けだすと

街の色味に靄がかかる

建物に流れ続ける時の痕跡を

なぞるようにして

規則的に置かれた形に

モダニズムの気配を感じる

分割。縁取り。非対称性

ずれる重心に足を置き

街の質感に手を沿わしては

街を切り取り、重ねていく

ピンクの幟をたどり

写真を言葉の拠り所にし

ふらりと開かれたドアをくぐる

鏡に映る街の残像に

小さな輝きを見つけては

微かに増幅させる

芸術祭は街に溶け込み

かつての写真館を舞台にする

時の流れは照らされては

濃い影を帯び

しんとした光をまとう

手に馴染む木の手摺

もう人々の写真を撮ることのなくなった

写真館の記憶の中に

重ねられた作品は

知覚の不確かさを表すもので

街の境界は。祝祭の上にあいまいとなる

1945年。時間は閉じては、動き出し

また閉じる。建物の記憶を綴ることで

写真の中の時が、また動き出すように

風景に言葉を重ねていく
壁は色褪せ、塵は積もる。時の流れは非可逆的で、
ものは厚みを増しては薄れていく。街の一瞬を記録
しては、切り取り続けた写真館。モダニズムの外壁
が時代を越え、建物の前をまた時間が流れていく。
