旅の始まりは朝の静けさの中に
夜が過ぎれば、また朝がくる
2025年瀬戸内国際芸術祭への2度目の旅。1度目は、
春会期に滑り込むように、そして今回は夏会期へ。
その芸術祭も11月9日で終わりを迎え、それでも私
の中の記憶の旅は続いていく。旅先の朝は早く、街
をめぐる所から。何気なく眺めた建物を振り返る。

旅先の朝は早く、出会う風景や

建物すべてに心ひかれる。宿泊したホテルは

事業者を変え、白から黒へと姿を変えたもの

向かいに並ぶショップの風合いのある壁は

重ねた時の長さを感じさせる。変わらぬもの

変わりゆくもの。時代の要求に応じ

建物は姿形を保っては変えていく

その道の並びには、立体的な文様を浮かべる塀に

迫り上がる庇。堂々とした門構えの建物が建つ

さざなみ打つタイルの陰影にひかれながら

建物全体を見渡せば、風格の中に軽やかな白いテント
ここは2022年にリニューアルされたホテルで
かつては個人の邸宅であった建物が、一棟貸しの
ホテルへと生まれた変わった。コンセプトは時休
止まることなく動き続ける私も、いつかその境地へ

今はまだ旅の途中で、眼前に広がる風景の中を進む

ガラスの屋根のかかるパサージュのような商店街も
まだ起きだす前。その空間に懐かしさも感じながら

先へと進むと円形の空間が広がり、上部にかけられた

ガラスのドームのスケールに目を奪われる
旅で出会う空間や形は、その時々の記憶とつながる
ドームを手掛けたのは坂倉建築研究所。デザインの
こだわりを感じ、かつてのアートの風景も振り返る

ここは日本一ともいうアーケードで、8つの商店街で

構成される場所。ガラス屋根を支える柱に
アートの気配を察しては、商店街に配置されていた

LOVEの文字に

アートでつながる風景を感じながら

足元の床に描かれるパターンは

リズミカルに展開されるアートでもある

手がけた川島猛氏によるベンチも楽しげで

見上げる立派な佇まいの建物は

戦前から唯一残る建物という百十四銀行の高松支店

レリーフの陰影に、くすんでまばらな外壁の中に

サリュとあいさつをするキャラクター

歴史や形やデザインに流れる物語を感じながら
時代を経て、所有者や使われ方を変えながら継続
していく建物。リニューアルして活力を取り戻す
場所。当時のままに大切に使い続けられるもの。
建物や場所には、その数だけの物語があり、関係
する人がいる。旅先で通り掛かっただけでは計り
知れないことを、振り返り調べてみれば、つながり
が見えてくる。旅はその繰り返しで、関係性がまた
どこかの風景や建物とゆるやかにつながっていく。
