光と色と音が満ちては引いて
万博が帯びるデザインや文化にふれながら
風景をめぐる。三度目に訪れたのは9月末の会期
も終盤の頃。所々にできた並ぶこともかなわない
行列を横目に、ちょうどタイミングよく列に並ぶ。
そこは光と色と音に包まれるパビリオン。流れる
音楽は陽気で、でもどこか切なさを含んでいる。

現代アートのようなパビリオンのサインにひかれ

ブラジルパビリオンにできた列に滑り込む

ガラス面に掲げられた我々の存在という言葉に

内部空間へと誘われる

床を埋め尽くす布の切れ端に記された

メッセージ。言葉の海の上を歩き

自らの存在の真意を思う

空間には、人や動物や植物のオブジェが

揺らめいて、光と音が空間を満たす

天井も揺らめく植物のような

オブジェでびっしりと覆われる

表面に記されたメッセージは

歴史を問い、時代を問うもの

溢れる言葉は何を伝え、何を伝えないのか

世界は混沌に満ちていて

はかない均衡の上に成り立っている

空気で膨らんだオブジェはゆらりと揺れる

存在についての言葉と

留まり、飛び交う光の間をたどる

空間の中に描かれる線

青白い光は静けさの中で

足元に沈みゆく言葉を照らす

天井から広がる柔らかな光は

その場の空気を鎮めていく

やがて光は色味を帯び、空間は青から

赤へと転じ、打ち破られる静けさに

モニターには世界が抱える事実が映し出され

時間は有限であることを肌で感じる

赤い光で染まる床

赤色を帯びた空間にはやがて

色とりどりの光が混じり

存在の多様性が示される

世界は多様さの中にあり

歩いては綴ることで、自身の存在を確かめていく

それは光に導かれるように

形を追い求めるようにして

やがて光は形を帯び、空間に満ちて

表現される鮮やかな風景の中へ
生命とリズムに満ちたブラジルという国が
表現する世界を肌で感じる
その陽気に、悲しげに奏でられる音とともに
ここで展開される物語は「存在する」「異なる」
「合流する」「消え去る」「再び存在する」という
言葉で説明される。繰り返される世界の歴史の中
の存在と不在、出会いや別れ、つながりや断絶。
ふと立ち寄ったブラジルのパビリオンで感じる光
と音と色の波。万博という場であるからこそ感じ
ることのできる体験。大阪で感じるブラジルという
国が帯びる光と影、鮮やかさと静けさを感じて。
