時代の波のその先へと進む街
広大な塩田の跡地に描かれた
宇多津の街。街には街の物語があり、様々な人が
行き交い、ものが時を帯びる。ほんのひとときの旅の時間に、芸術祭に誘われるように、瀬戸内海をぐるりと回り、宇多津の街へとたどり着いた。

移りゆく街の姿の間を

構成する形を拾い集める

打ち放しコンクリートの建物は

宇多津の古街で見かけた設計者によるもの

直線が切り取る境界は

時を超えてモダニズムへの思いをつなぐ

宇多津の街を後にして、街から街へと

移りゆく風景と、流れる風を切るように

旅の終わりに向けて、ペダルを回す

やがて次なる街が近づいて

街の空気が伝わってくる

そびえる建物は、静かに圧倒的な存在感を放ち

緑は建物に寄り添う

壁面が描くいつかの記憶

水平ラインは重ねられ、造形は厚みを帯び

雁行された形状が、街にリズムを与えている

人工地盤の上に建てられた街とそれを支える

モダニズムの気配をまとう格子状の梁

街が帯びる時代の気配を感じては

当時の高揚感を思い浮かべる
50年の時を重ねる坂出人工土地に

流れる空気にふれながら

更新される空間と

生み出された群像と
街は新陳代謝を繰り返し、新しい形が

長き時間に重ねられる

20年をかけて建てられたという建物が

まとう生成の過程は

人工土地の上で連なっている

街を彩る緑が、建物に活気を与え

刻まれた時がふわりと浮かぶ

建築家が目指した新陳代謝は

変えられぬものと、変わりゆくものの中で

宇多津から坂出と自転車を走らせる。移りゆく街
の風景。時間は、速度を変えながら、街の中に流れ
ている。時を経たもの。かつては、新しいものも
時が来れば古くなり、時代から取り残され、そして
また輝く。大高正人が描いた先進的な都市の姿。
人工土地の上で、モダニズムの建築が時を重ねる。
古さは新しさにつながり、価値は時代とともに、
移り変わる。人々の夢を乗せ、そびえた坂出人工
土地は50年もの時を経て、その先へと進んでいく。
