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街が帯びる時の流れを縫うように

奈良は、様々な時間を受け入れて

街の中には、かつての刑務所もあれば、歴史を帯びる
寺院や、役割を変えながら使い続けられる建物、動物
たちが住まう場所まである。多様な風景が混じり合い、
さまざまな価値を受け入れる奈良の街。その街の時の
流れを縫うようにして、風景に沿って旅を続けていく。


改修中の奈良監獄を後にして、様々なものが混じり合う
奈良の街。ふと見上げた屋根の上の、白と黒のシルエットに
ひかれて少し寄り道を。ぐるりと入り口のほうへ回り込むと
建物にはUEMURA FARMの文字。ここは奈良の街の片隅の
おだやかな空気が漂う牧場で、のんびりと過ごす牛の姿に
屋根の上に立っていたのは牛のオブジェ

今までの牛のオブジェの風景の1ページに追加して

植村牧場は地域に根差しながら今にいたる

奈良といえば歴史が織り込まれた場所で、ひっそりと佇み

歴史を感じさせる楼門は、般若寺に建つ国宝でもある。

般若寺は秋には色鮮やかな風景で包まれて

色とりどりのコスモスも記憶の中の風景をつなぐ

また街を下れば、途中には時を刻むレンガの建物も
柔らかなデザインの装飾格子を通して
見える扉の向こうの奈良の記憶に思いを馳せ
装飾が複雑に重なるデザインに設計者の思いを感じる
この建物も奈良監獄と同じ山下敬二郎に手がけられ、水道の
送水量を計量する設備にちなみ、デザインされた水の文字
細部まで行き渡るデザインや

時を経たレンガの色合いは、街に深みを与えている

通り沿いの、昔ながらの重厚な建具にも目を留めつつ
風景に彩りを添える花の存在を感じながら
奈良の街をまた南へと下っていく
街の中心に近づくにつれて、石畳みが敷かれて街は整然とし
通りに面した建物の門構えも重厚で
漆喰の壁は、木々の影をデザインに取り込むように続いている

その建物は、アコルドゥという名のレストランで、
言葉の意味はスペイン語で記憶のこと。そのお店は

かつての記憶を引き継いで、新しい場所で物語を紡ぐ

その向かいにも、すっと長く伸びる漆喰の壁に
重厚な和風の門構えの設えを持つ建物は
時の道と呼ばれる公道を隔てて配置されている
その道では時が穏やかに流れるかのようで
道をはさんで反対側にゲストルーム棟を持つ
紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良

隈研吾建築都市設計事務所に手掛けられた

旧知事公舎が活用され、御認証の間が残るホテルは

時の重みを、次の世代へとつないでいく

道を進めば壁の質感は、漆喰から土壁へと続き
壁の仕上げの変化と、瓦屋根が落とす影のリズムに乗りつつも
土塀の瓦屋根の上の迫力のある鬼瓦に立ち止まる
街が織りなすデザインを進んだり、止まったりとせわしなく
歩いて、奈良といえばの動物たちが住む場所へ



旅は寄り道の連続で、むしろ寄り道が集まったものが

旅なのかもしれない。目的地もふんわりと、その日の

足が赴くまま、風景に身を重ねるようにして旅をする。

自転車で楽しむ奈良の街も、ときには押して歩いたり、

停めては歩いてめぐる。自転車の旅は、歩きの旅より

さらに、自分と街との関係性の選択肢を広げてくれる。

次は自転車を停めて、奈良の地に住む動物たちの間を

縫うように、さらに深い奈良の時間への旅を続けて。


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