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そのまなざしの奥の輝きを感じて

今回の西へと向かった旅の目的地は

晴れの国・岡山で、行われた森の芸術祭

草木染の織物から着想を得たというロゴに気分も高まって


アートをたどり、最初に訪れたつやま自然のふしぎ館。
ここは、まるで生きているかのような動物達の剥製が
展示されている所。その剥製は、その動物が生きていた
時間の瞬間を切り取ったような力強さで迫ってくる。


まず最初に、津山基督教図書館高等学校夜間部の校舎が
改装された建物の中の展示へ。このつやま自然のふしぎ館は
1963年に開館し、内部に多くの動物の剥製が展示されている
建物の入口には、学校であった頃の校章が残されていて
そして和風の建物の飾りには火除けのための懸魚、
緑の先のキリスト教の建物には十字が刻まれた鬼瓦も見える
石垣に這うツワブキには鮮やかな黄色の花。見上げる

樹木の形の不思議さに目を留めつつ、つやま自然のふしぎ館の
内部へ進む。以前は校舎であった建物の面影を感じながら
内部の様々な展示物をたどる
まずは津山地方の地質について。土地に刻まれた歴史にふれ
そこは建物の創設者である森本慶三の想いがつまった場所で
特に圧巻なのは、800点もの動物の剥製の数々

剥製といえば国立科学博物館のヨシモトコレクション

いつかの旅での、400点に上る大型の剥製群の光景を思い出す
そして、つやま自然のふしぎ館にはそれに類する迫力で
動物達の剥製が立ち並ぶ。ここにはワシントン条約制定以前に
外国から収集され、現在は入手不可能なものも多いという
それは今にも動き出しそうなリアルさで
それぞれの動物たちの息遣いを伝えるように
予想以上の展示の質量に圧倒されながら
剥製はやがて鳥類のエリアへ
鳥たちは躍動感のある姿で空を羽ばたくように
輝きの中の一瞬を切り取られたように
その眼差しの奥には、未だ生命の光が宿るようで
毛並みの質感に自然の繊細さを感じながら
動物の解説に目を通せば、レッドリストという動物の絶滅の
危機の度合いの表示。NTは近危急種で、比較的まだ低いものに
その先の芸術祭の作品は危機的な現存というものでAIを用い
絶滅危惧種のイメージの生成を試みたもの。作者の
ソフィア・クレスポは、バイオテクノロジーへ
の強い関心を出発点として、AIによる画像生成と
人間による創造的自己表現や世界認識
との間に共通性を見出しているという
つやま自然ふしぎ館にある動物の確たる世界は、圧倒的で
力強く、多様な色や形にあふれていて
それぞれの動物が生きていた記憶や時間が
剥製となって形となり、後世へのメッセージとして紡がれる
そこには世界が命の縮図があり
もう動くことはない剥製達が、永遠の時間を得たような
輝きでこちらに迫ってくる。それでも形あるものは
時間の経過とともに失われていくことは必然で
これらの剥製も、時間の経過と共に姿を変えていく
展示の最後の、全剥製を写真集にして残すという取り組みは

写真家の村松桂さんによりクラウドファンディング

という形で取り組まれていて、800体のどれかを選ぶ

ことはできないという思いにより、写真集は800体
のすべての動物のポートレートの写真になるという

旅では思わぬ風景と出会い、旅は様々なことを教えてくれる


つやま自然ふしぎ館には、想像を超えたものが設置
されていた。もちろん博物は過去にも剥製をみること
はあったが、今回はこの時間が凝縮されたような建物
の中にひしめき合う、その圧倒的な熱量に驚かされた。

ここには動物達の切り取られた一瞬の輝き、昔の木造
の校舎が使われた博物館の時の流れがある。ものには
確実に寿命があり、それらは時を重ねながらだんだん
と消耗していく。でもそれは失うばかりではなく、時を
経ることで記憶の厚みが増していく。剥製の動物達は、
時を重ねていく博物館の中で、創設者の想いと、それを
取り巻く人々の想いをうけて、輝きを放ち続けている。


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