水に浮かぶように建つドームのパビリオンへ
水面にシルエットを映す白いドーム
空と混じり合うような白とおだやかな水面は、様々な
色、形で彩られた万博会場において、しんとした静けさ
を携えていた。このパビリオンが、大きく広がる空を
背景とした場所に建てられたことを嬉しく思いつつ、
ふわりと浮かぶ雲のようにも見えるパビリオンへと。

次に訪れたのは、空と水の風景と一体となり

重力から解き放たれるような3つの白いドームのパビリオン

それぞれに自立したドームは白い膜でつながり一つの建物へ

一つ目は竹籠の編み目のような構造のドームで

使われる素材も、しなやかに強度のある竹の集成材

ふわりと浮かぶようなドーム自体の構造もやわらかく。そこに

展示されるのは水の循環という名の作品。海に達した雨粒は

やがて雲になり、また雨へ。ガラスの鹿おどしが

金属にふれて軽やかな音を立てれば、水滴はすべるように

重なり、つながり、また離れ、そしてまた水の集合体となって

せせらぎのように、鋼板でできた川を模したオブジェの上を

分離しては、踊る雨粒のようにして、流れていく
それは時間さえゆるせば、ずっと眺めていられそうで

水滴の循環のイメージは、かつて海につながる風景の中で
訪れたゆるやかな円を描く構造物の床面を
ゆっくりと水滴が流れていく記憶にふれる

集合しては、また分割されて、形を変えながら進む
様々な形に変容する、美しい水の流れに見とれつつ

展示は次の映像へつながっていく。そこでの小さな黒い粒は

海洋に流れ着くプラスチックを表して、それらによって

地球全体が覆われていくことを体感させる展示映像が続く

中央のドームに設置された大きな円のスクリーンに

映し出される青く鮮やかな地球

そこに人類の活動によって、環境に変化が与えられる

それは深海にまでおよび、クラゲの群れに浮遊するビニール袋

画面いっぱいに広がるクラゲの風景に、山形の旅で
その生命の美しさに思いを至らせて

3つ目のドームの構造は紙管によるもので

木製のボールジョイントにより、分子構造状に組まれ

複雑な美しさでドームいっぱいに展開される
ボールジョイントは1970年へのオマージュではとの

見解に、万博記念公園に残るお祭り広場の大屋根を振り返る
設計者の万博への思いは、1970年から2055年へと

坂茂氏によって、紙管から生み出されるのは

会場の小さな椅子であったり

様々な場所で展開された建物でもある
氏は2000年ハノーバー万博で日本館を設計し、世界初
の再生紙からつくった紙管を構造としたパビリオンを
実現し、終了後の紙管の回収までデザインされている。
設計した坂茂氏は語る。万博は未来のための実験の場。
1970年の万博はアメリカが空気膜構造でパビリオン
を作り、それが東京ドームの技術につながったという。
そして今回、設計された異なる3つの素材のドーム。
それらのドームはモルディブへと移設される予定とも
いい、氏の建築への視線はさらに先へと進んでいく。

そして坂茂氏によって展開されるデザインに
アマガエルにも親しんだ、自然と一体となる宿や

また籠目模様の木の格子で展開される、うねる天井を持つ
大きなOの文字が懐かしい大分県美術館を思い起こす

紙管によって、水面に浮かぶように建つドームを後にして

様々な関係性の上に保たれる、地球の持つはかなさと

美しさを少しでも綴り、形に残していこう

BLUE OCEAN DOMEが作る風景は一過性のものだけど

その建物が持つ意思と、表現される美しさと、世界の現状に

思いをはせながら、空と水に浮かぶパビリオンを後にして
坂茂氏による白いドームは万博会場の中で輝いて
また未来を見据えるようにして、この先へ
海の風景にあこがれている。九州ですごした2年半の
間に、様々な海の風景にふれてきた。それは風に揺れ、
風景を映し、かもめは舞い、夕日を震るわせ輝いて。
そこに漂着する廃棄物は、人間の営みと心がけが、流れ
ついた姿でもある。それらは環境に影響し、円環する
連鎖の中で、やがて人間へと返ってくるものでもある。
一人一人がその状況を知り、できることを積み重ねて
いくことが、世界を次の時代へと続かせていくことと
感じている。旅をして、風景の美しさを感じ、それを
ほんの一部でも書き留めていく。風景は過去の連続が
今を生み出し、未来へつながって以下もの。私にできる
こととして、今の風景を綴り、未来へと運んでいく。
