変わらぬものと変わりゆくものに目を向けて
そして万博の風景は現在から未来を
見据えるものでもある。巨大なヤシの奥にそびえる
都市のような外観のサウジアラビアのパビリオン。
そのシンプルで複雑なデザインが気になっていた。
すべて本国から持ってこられたというパビリオン
がまとう石材は、圧倒的なファサードを構成する。

空へと葉を広げるヤシの木のスケールからも

パビリオンの空間づくりの本気度を感じながら

しっとりとした石の質感にふれる

壁面には多角形の複雑なパターンが展開され

まるで迷路のような路地空間を、分割された

石の割り付けをたどるように進む

見上げると切り取られた空から

落ちる雨粒は、空と建物の境界をにじませていく

中庭にはサルスベリの枝葉が広がり

ボロノイ分割のような壁面のデザインは

格子扉のパターンにも使用され

入れ子構造のようにしてつながっていく

パビリオンの配置は、サウジアラビアの伝統的な町並みを

モチーフとして、伝統を受け継ぐデザインとなる

外壁を構成するのは、軽量なサウジ産石材とされ

加工された石材は分解、再組み立てができるものという

その石貼の技術と複雑さとスケールに

つい心を踊らせて。外壁のパターンには

ツライフ地区のディルイーヤの町並みも重ねられ
サウジアラビアの新たな美術館のモチーフにも

迫り立つ壁面が構成する空間を見上げ

切り取られた空から落ちる雨にあたりながらも

角度を変えるほどに動的となる空間に引き寄せられ

迷路のような路地を、壁面に沿うようにして

サウジアラビアパビリオンに広がる異空間を楽しんだ

前回、訪れた際に、大屋根リングから見下ろし
気になっていた、ノーマン・フォスターが手掛けた
万博の風景の中で圧倒的なパビリオン

それは映像展示の先進的な都市の風景につながっていく
サウジアラビアが計画するNEOMという未来都市
OXAGONは世界最大の水上都市計画で

MAGNAは海沿いに設けられた観光地となり
デザインされたホテルが建ち並ぶ計画

そして極めつけはTHE LINEという名の計画で
全長170km 高さ500mに及ぶ直線状の高層都市
その圧倒的な構造物は地図に線を描く

未来の都市を描くサウジアラビアは

2030年の次なる万博が開催される場所で、それは
大阪・関西万博の4倍もの広さで世界をつなぐ
世界において古来から残されるもの。新たな風景
として切り開かれるもの。時の流れが染み込む古代
遺跡。時の流れを突き抜けるようなテクノロジー。
いずれも形あるものは時間の流れの影響を受ける。
新しいものはやがて古くなるけれど、古きよきもの
は今でも新しさを秘めている。古代の知恵と現代
の技術。変わらぬ風景と、変化し続ける世界に目を
向けながら、今、この時代の風景を見つめていこう。
