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うつろう光は建物に動きを与えて

作州民芸館を後にして森の芸術祭も、

とうとう最後の展示へむかう。近づくほどに、光は踊る
ように、ガラスはきらめき鮮やかさを増す。芸術祭へ
の旅で鑑賞者として、時には建物を舞台に演者として、
視点を常に変化させ、身をまかせるように旅をして。


作州民芸館を後にし、津山に広がる空の下



至る道を進み、橋を渡り、川を越える



建物から建物へ。絶え間なく続く風景を体で感じながら



森の芸術祭への旅も最後の会場へ。雨上がりの空に



時を経たコンクリートの壁が浮かび上がる



光を受けてガラスは鮮やかにきらめき



色褪せたドアがその輝きを増幅させる



訪れた建物はかつての扇形機関車庫で、雨上がりの水たまりに



映り込む機関車の車輪。それは記憶をつなぐオブジェとして


機関車庫に並ぶ車両にはD51。デゴイチと呼ばれた機関車の

黒光りする車体に輝く金の部品に



当時の勇姿を思い浮かべる



扇形機関車庫の中央の転車台は、今も可動するという



展示された機関車を間近に見ながら



建物に沿うように進む。その先の七色に輝く光は



こちらの動きに合わせて、姿を転じていく


機関車車庫の2188もの窓に施されたというプリズムシートは



かつて動的であった空間を、柔らかな光の綾で覆うように



キム・スージャによる息づかいという名の作品は



そこに流れていた記憶に寄り添うように光を漂わせる



今にも動き出しそうな機関車の、かつての息づかいを感じつつ



車両の中には、移動展示として不在のものや


 
特急やくもの展示も。キハ181形の車両は初代のもので


今は273系となり、時代に合わせて進化をとげた



近代化産業遺産として、保存活用される扇形機関車車庫は



当時の津山の姿を今に伝えるものでもある



転車台の向こうに並ぶ機関車の壮観な姿と



日本で二番目の規模を誇るかつての扇形機関車車庫 



見取り図をみれば、その特徴的な平面がよくわかる



そして森の芸術祭のアートによって空間に意味が付加されて


キム・スージャの息づかいという作品は奥能登でも


それは見る人の位置により、姿を変えていくもので



光のうつろいは、時の経過に新たな命を吹き込むように



建物は、今は津山まなびの鉄道館として、人々を迎えいれる


津山には歴史を伝える場所がある


津山と、森の芸術祭を旅をした。街にちりばめられた
アートをたどり、自然と作品との関係性を受け止める。
靄がかった朝の風景、雨上がりの青い空、光はだんだん
と強くなり、建物にきらめきを与えていく。時間の経過
を感じ、天候に身をまかせ、風景にひたる。光や陰影は
記憶となり、時間と場所の積み重ねが心に刻まれる。
そして風景に身を重ねるように、建物やアートの持つ
息づかい、風、光の移ろいを体全体で感じるように。


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