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建物に散りばめられた形の記憶をたどる

アートが旅に彩りを与えるように

建物に散りばめれられた形は、旅の陰影を深めていく。
森の芸術祭の旅もあとわずか。一日目の津山の町で
訪れた建物をたどり、再びアートを求め作州民芸館へ。
そして、その建物が纏うデザインと空気感も楽しんで。



作州民芸館に展示されたアートが持つ自然との関係をたどり



窓の向こうに広がる津山の町の風景の中で



この建物は100年以上もの時を刻み続けている



建物に散りばめられたデザインや



文化は時と場所を超えて、様々に関係しあいながら



建物に流れる空気感の元となる。展示された作州絣の


幾何学模様は、建物のデザインにもつながるようで



その藍色の生地に白の細かな絣模様は


福岡の旅で出会った久留米絣に重なって



建物の内部では、窓のモールや天井のデザインなどの



様々な形によって、空間の密度が高められている



置かれた金庫は、日本最古の金庫メーカーの竹内金庫のもの



以前には大日本東京大倉製のものにもふれた。時を経たものは


そのものに内包され、物語の始まりの気配がある



側には明治6年の改暦によって使命を終えた和時計も


その後ろのポスターの展覧会には、今回の旅で訪れた



建物の裏側へ抜けると回廊に面してテラスが設けられ



回廊ごしに見る三井港倶楽部。その時代の建物は

場所が違えども、同じ空気感をまとっている



回廊をめぐり、建具に施された細やかな意匠にも目を留めつつ



建物全体の洋風と和風が入り混じる



幾何学的なデザイン要素をたどる



内部からも眺めた曲面の窓を持つ開口部の周囲には



アールデコ調の幾何学的なデザイン要素が散りばめられて



アールデコの幾何学的なデザイン様式は、日本各地の


建物で磨かれた。神戸ではシップ海岸神戸ビルへ



また大阪では、中之島中央公会堂を訪れて


建物を構成する窓枠やモールの意匠をたどってきた



アールデコのデザインから醸し出される


大正ロマンの薫りは、門司港駅からも流れていて



作州民芸館でも、その時代の空気とデザインの質を肌で感じる



アールデコのデザインは、津山の町へと伝わって


その華やかな時代の空気を静かに今に伝えている


津山の城西地区にはアールデコのデザイン様式が残り



また建物の側の橋の欄干にも、そのデザインが残る


翁橋は大正15年に、当時の空気感の中でかけられて
今にそのデザインの熱量を、掘り込まれた御影石の形に残して
デザインに満ちた作州民芸館を後にし、津山の旅も終わりへと


建物は様々な要素が組み合わさり、形作られている。
その形はデザインとして、文化として、場所と時間を
超えて伝わり、地域の固有の形として根付いている。

そこには建物に携わった人達の思いが流れ、設計者の
意図が刻まれる。旅をすることで、その思いを感じ、
つなぐことで、その旅は私にとって固有のものとなる。

いつかの風景がふわりと浮かび上がり、形の持つ記憶
が呼び起こされる。森の芸術祭を目指し、訪れた津山の
地でアートをたどり、その視点の先にある風景や、建物
に散りばめられた形をめぐり、この旅も終わりへと。



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