アートがもたらす視点は旅に彩りを
旅をして、様々なものを巡り、たどり、また戻り
いくつも視点で、旅を角度を変えながら、眺め楽しむ
ことは、人生に豊かさを与えてくれると感じている。
その中でアートは旅に、日常に彩りを与えてくれる。
城西浪漫館を後にし、次に訪れたのは、前日の旅路を
なぞるように、芸術祭の会場でもある作州民芸館へ。

こちらも昨日は定休日だったけど
もう一度、昨日訪れた旅をなぞるように

次の日に、開館時間に訪れてアートをたどる

階段を上り、大正ロマンの雰囲気が漂う空間を進み

視点を切り替えながら、森の芸術祭の作品の会場へ

壁面に大きく描かれた、現実と非現実が混じりあうような
絵画は難波香久三による自然と人間の関係を表すもの

向かいにはムハンナド・ショノの意味を失うことについて

という作品。砂の上で機械のアームが描く地形のような模様が

描いては書き換えられていく。形に生じた意味は、別の形へ

常に更新されていく。意味を失うことは、意味を獲得すること

でもあり、常に形も意味も更新され続けざる得ない日常で

その瞬間を、時の経過を作品の中に顕在化させる

アートが拡張させる視点をたよりに、通路の先の緑の作品へ

描かれた柔らかな風景。襞のような波の連なり。それは記憶に

ふれるようで、手をつながれた子供の絵にも郷愁を覚える
それは川島秀明によって描かれる奥行きのある世界

通路を進むと壁の突き当たりに3枚の絵画

そこには作者が岡山で見た星や空、山や水の自然現象が

画面全体に靄のようににじむように表現されて
画面全体に自然の柔らかなイメージが広がっていく
言葉を綴るように鉛筆を動かしていくという筆致で

その山並みと、緑、雲、雨、雷の色彩が与えられた作品に
自然の強い美しさが表現される

動的に自然の色彩を表現された作品に、以前に見た
福田美術館での跳ねるような彩りの絵画を思い出す
小山登美夫ギャラリーにも展示される染谷悠子さんの
作品の強度とは、視点の積層の強さのようにも感じる

森の芸術祭の作品は、自然とアートのつながりを表現し

スミッタ・G・Sによる作品は、自然が極彩色で描かれて

その自然に人の暮らしや文化の様子が重ねられている

その向いに広がる津山の町と山並みの風景。窓の前に

吊り下げられた色とりどりのアクリルのプリズムは、光に

反射し、この津山の旅の思い出を照らすように輝きを見せる

その中に、ふとハートの形を見つけて

この旅で見た、津山城跡の大きなハート型の石を思い起こす
それは恋人たちのスポットにもなっていた

またハートの形は、アートの中に取り込まれるものもあり
北加賀屋ではアートは町を彩るように散りばめられて

恋人達のモチーフとしてのハート。私はとうに過ぎたけど
以前の旅で大分の恋叶ロードを走ったことを思い出す

旅をすれば、恋人たちの聖地に出会うこともあり

その形の向こうに見える風景に、懐かしいあの頃を重ねたり
そのハートによって、世界に少しでも幸せが広がれば
旅先のアートは視点に奥行きを与え
その存在が旅を彩っていく。アートを見る視点は日常
の風景に鮮やかさを与え、それらを視界に引き入れる。
旅を通し、世界の鮮やかさへの視点を拡張させていく。
旅の記憶のかけらに心はジャンプするように、その旅
で見たハートの形は、日常の、いつかのハートの形へ
とつながって。旅をするほどに、旅そのものへの視点
を意識することで、旅は彩りを持ち立ち上がってくる。
