沈んでは流れる時間の境界に
かつての記憶を伝える場所を
緑が覆い風が抜ける。カラミ煉瓦の沈む色に
植物の色が重なり合う。ツタをまとう石垣に
時の長さを測りながら、一段、一段、階段を
上る。空が開き、崩れかけた煙突の下を歩く。

島の遺構は要塞のごとき姿をなし

その隙間に道が続く

不均一に並ぶ石段を数えては

絡まるツタをたどるように

島に堆積する記憶の中を歩く

カラミ煉瓦は光を帯びては吸い込んで

この地の風景を見守り続ける

息を吹き返す煙突と

崩れゆく煙突の間

勢いを増す緑の下で

遠い過去に生成された煉瓦のうねりが

重なりあって時間の層を作る

凹凸を光がなでて

玉虫色が姿を表す

列をなす煉瓦の連続と

隙間を埋める植物の動きに

静けさの中に音が連なる

ゆらめく質感を持つ煉瓦の向こうに

沈む時間と流れる時間が混じり合う

アーチを描く赤レンガを

数えては、風景が作り出す調べにのって

島に吹く風を体に浴びる

積まれた石の道しるべが

大小と高さを変えて連なって

勢いを増しては、過ぎゆく緑に

焦点を前後させる

段々と線を描く煉瓦の連なりに

吸い込まれそうになりながら

緑に浮かぶかつての遺構の

朽ちては、立ち続ける姿に思いを寄せる

かつて栄えた銅の製錬所の島の

崩れかけてゆく記憶にふれて

過去から現在へと引かれた線を

たどるように、刻まれた時間と

今に流れる島の時間の間をたどる

空にそびえる煙突の重なりは
100年の歴史をつなぐもの

勢いを増す緑も

朽ちては色を繰り返す

島に堆積する気配をくぐり
かつての情景を呼び覚ます

びっしりとツタに覆われた建物は

遠い時間を内包しながら

時の過ぎゆく島で今も立ち続けている
2本、3本と続く煙突。ずれては積み上がる煉瓦の
行列。階段状に重なってはアーチを描き、円をなす。
煉瓦に光は染み込んで、砂はざらりと音をたてる。
ふわり広がる緑の下をくぐり、静かに連続する時
の長さの間を歩く。沈んでは流れる時間の境界に。
