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建物は背景となり器となって

残されるもの、生み出されるもの

レンガに反射し、吸い込まれる光。煙突は空への
線を引く。石に刻まれた時間の層をなし、建物は
大地に埋め込まれては器となる。ここは島の記憶
を収束させては閉じ込め、増幅させる場所となる。

  


小さく開けられた入り口から



取り込まれた光の下の



再生されたカラミ煉瓦の先の空間は



ささやかな気配を帯びる



作品の器となる場所で



素材の音が入り混じる



島に残されたものと生み出されたもの



穏やかな光を浴びて



カラミ煉瓦はツタをまとう



遠くから望んだ煙突を間近に見上げ



錆びゆく鉄の重なりに沿う



ガラスが風景を映し込む



光を帯びる煉瓦の連なりは



空の青さを引き立てる



抜けては遮られる視線をたどり



建物の周囲をめぐる


建築家は場に形を与え



残されたものを生かしては



その間をつなぐ空間を立ち上げる


島の記憶を閉じ込めては



空へと増幅させるように



身体に問いかける



近代化への動力となった場所で



かつて煙を吐き出した煙突は



今は建物と外部の接点となる



積み重ねられた石は、島そのものとなり



地形のようにこの地に建つ



石に包まれる中庭で



時を経た素材が重なる 



煙突は静かに聳え



石の重力にひたっては



矢穴の跡に音を聞く



潮騒が遠くに揺れて



光は島の姿を映し出す 


揺れる景色とつながる視点



建築家の目に映った風景を


今の旅に重ねていく



風景を取り込む建築は



並ぶ煉瓦の背景となる



ぽっかりと空いた開口部は



光と風の出入り口で


建物は自然を取り込み



作品の背景となり器となる



過去から未来へと歴史をつなぐ建築の



ガラスの向こうにアートが揺れる


近代化の過程で忘れられた遺産が



緑の中で息をふき返し



穏やかな瀬戸内の海に静かに浮かぶ



犬島精錬所美術館は



過去の遺産を引き継いで



瀬戸内の海にそっと浮かぶ



島の地形を体に伝え



歴史が刻んだ音を聞く



旅の進路を定めては



削られた間に、生み出された



残されたものの間をゆく

 

帯びる時間を感じながら


時代の流れに生み出されたレンガが島に残る。大地
から切り出された石が記憶をつなぎ、残されたもの
は背景となる。光を取り込み、空気を揺らす場所は
浮き立って、輝きはまた島の歴史を照らすように。


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