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建物は風景とともにある

水盤に張られた水は、風と光により動く

直島本村地区に建つ築約200年の旧家。建築家は、
その場所に街区を通りぬける風を感じ、島に流れる
ゆるやかな時間を、水を通して浮き彫りにさせる。
そこは、冷たい水に足を浸し、そよぐ風にふれる
ことのできる来島者と島民との憩いの場。直島に
受け継がれる豊かさを今に伝える建物を後にして。



アートと一体となる本村の集落を進む



焼杉板の門をくぐり、庭の緑に目を落とす



旧家に設けられた庭に鮮やかな苔と



飛び石がつなぐ風景をたどり



風が通る庭の空間に身を寄せる



軒下、丸瓦、簾



大きなガラス戸に映り込む



板塀を背景に、苔に浮かぶ飛び石の側には



所々にアートが点在している


訪れたのは2025年瀬戸内国際芸術祭の夏会期



作品の舞台となるのは築100年の母屋と、建築家により



手がけられた離れの建物。庭がつなぐ



旧家の空間と建物の関係性を感じながら



緑に染まるのれんをくぐる


築100年の母屋と、増築された離れを手掛けたの
も三分一博志氏。本村の旧家に見られる続き間と
南北に設けられた庭、通り抜ける風。それを氏は
「直島の家々は、まるでリレーのバトンを繋ぐ
ように風をリレーしている」と表現されている。

瀬戸内で生まれ育った三分一博志氏の目に映る島


建築家はその美しい風景を次代へと手渡すように


有るものを活かし、自然をとりこみ、
風景の一部となる建物を生み出す。



六甲の山上に設置された六甲枝垂れを



訪れたのは、もう15年も前のこと



2010年六甲ミーツアートの頃で、今も続くそのイベントに



思い馳せ、当時の風景を重ねてみる



その建物は、冷たい風により樹氷をまとうように


小枝の連なりをモチーフとしデザインされている



手掛けられた犬島精錬所美術館は




翻弄された島の記憶に寄り添い、残された場所や



建物や素材を読み直し場が作られている



そこを訪れたのは今から12年も前のこと



建物は風景の中で歴史を語る



光る折り鶴を備えたおりづるタワーの



屋上には地形のような展望台が広がる



70余年は草木も生えぬといわれた風景に広がる緑



ここには、美しい風景があったこと、そして
その風景が取り戻されつつあることを感じる


建物は風景と共にある。自然を纏う建物もあれば、
風景の意味を教えてくれる建物もある。それぞれの
土地では、風が流れ、自然は循環し、風土となり、
歴史が生み出される。氏により手掛けられた建物
は土地の物語を汲み取り、寄り添う。綿密な調査に
よって土地の声が建物に顕在化する。風景の中に
身を置き、建物がそこに建つ必然性を感じていく。


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