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風は建物を通り抜け、建物は自然に寄り添うように

運休日のフェリーに、少し立ちつくしたけれど


気を取り直し、直島の旅を続ける。旅には予定変更
はつきもので、状況に応じ旅の形は変わっていく。
結果はよい、わるいというより、それぞれに見える
ものが異なるということ。でもさすがにゆふいん
の旅の思いもよらない出来事は、もう二度と繰り
返さないように、暗闇と足元には気をつけている。

日常でも旅でも、いつも少し抜けていて、予定外が

予想もしない旅の結果を生み出すこともある




それでも心は少年のように



見えないものに目をこらし


アートの視点を頼りにしながら




街の風景をたどっていく。道沿いには



町並みから突きでるような直島町役場



建物に落ちる電線の影をつたい



恣意的なデザインに立ち止まる。建物には


直接的な形がちりばめられたものもあれば



風景に馴染むような建物もある。隣に建つ



幾何学的なフォルムを持つ



直島ホールという大きな屋根のような建物



緑と屋根と空の関係性をたどり



建物の入り口へ足を運ぶも、こちらも休館日



外回りは散策できるようなので



建物を説明する案内板をたどりながら



自然を取り込む空間と



地域の歴史と文化を継承する空間に思いはせる



自然を感じられる場所を手掛けたのは


三分一博志氏で、建物はその思想が形となったもの



視点の焦点を合わせたりずらしたりと



建物の周囲を巡る。ガラスに映り込む風景と



風の通り道を持つ、自然と共にある建物



奥には直島町役場。建物の質と形の対比を



感じながら空間をすすむ。ホールの横の



集会所も風をつなげるように建ち



抑制された屋根の開口からは光が広がる



内部には地域の歴史を語る井戸を備え



風と光と水が交差する場所となる



光を感じ、風に吹かれるように



自然に身をまかせながら旅をしては



建物をめぐり、風景に身を浸す



直島ホールに面した円を描く池の上に



舞台のように浮かぶテラス



建物の上で踊りたい気持ちを抑えつつ



静かな直島ホールを後にする


予定変更によって立ち寄ることができた


直島ホールを振り返るほどに、建物が持つ力や


意味について考えさせられる。一期一会の


旅の風景をかみしめる。ここは直島に


現れた直島パビリオンとあわせて


2つのアートシンボルの一つとも評される


手がけられた建築によって、引き出されるものは


風や水や光といった自然の要素で


それらは建物と風景と共にある


建築は風景をつなぎ、そのデザインの思想は


遥か遠い国の人々にも共鳴する


デンマークのコペンハーゲンでも

インスタレーションを手がけた建築家は


その場所の美しさ、太陽、空気、水、それが建築
によってひきだされることを目指す。場所は季節
によって状態を、姿を変える。場所は固有であり、
建物が地域に根ざすことがデザインの根底にある。

旅は人生における、ほんの一時の時間。太陽は動き、
光と影は交差する。風が生じ、雲は空を流れ、空気を
感じる。三分一氏が目指すのは建築により、自然
とともにある場所が持つ固有の美しさを引き出す
こと。風は建物を通り抜け、建物は自然に寄り添う
ように建つ。緑が太陽の方向を向くように、建物
も自然との関係を持つ。直島ホールは休館日では
あったが、太陽と風と建物の関係にふれることが
できた。予定外に形を変えゆく旅に身をまかせて。


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