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アートの気配を帯びる集落の中へ

古くて新しい空間を後にして

島の東側に位置する本村地区では、古民家の連なる
風景が続く。そこで展開される家プロジェクトは、
使われなくなった古民家を利用し、様々な現代美術
が展開され、集落がアートの気配を帯びるように。



緑と空の間に建つ、焼杉板の曲面の壁、庇



家プロジェクトの一つの南寺は



安藤忠雄氏によって手掛けられたものでもある


内に広がる暗闇はジェームズ・タレル氏の作品で


浮かび上がる光をテーマとした作品として


十日町の光の館での光と空の関係を懐かしむ



向かいのゲストハウスのサインにもひかれつつ



緑に包まれる石段の先の風景も気になる所だが



限られた時間に沿って、連続する風景づたいに



旅先の形を拾い集めていく。次に訪れたのは



古民家とアートが一体となる家プロジェクトの



始まりの場所。壁の風合いに流れる長い時間と



ほのかな闇の中で光の点滅に感じる短い時間



それらが繰り返し刻み続ける未来への時間



築200年の古民家にはられた水盤の中の



デジタル数学は思い思いの速さで時を刻む



水面は時間の流れをゆらめかせ



波紋は光と影の像をにじませる



1998年のこの作品は宮島達男氏の代表作ともいわれ


古民家の、島民の方の記憶をつむぎ、2018年に


行われたタイムセッティングで未来へ時をつなぐ



かつて台所として使われていたという土間に



設けられた開口部に並ぶ数字。ランダムに切り替わる



数字は変化し続けることで時間の流れを指し示す



刻まれる数字は姿形を変えながら


日本各地で展開される。ゆふいんで流れゆく数字は


限られた時間、繰り返される時間が表現されている



いつか、東京の街で出会った氏が手掛けた大きな数字


数字による風景のつながりも感じ楽しんでいる



在るものの中に、無いものを生み出すというコンセプトで



展開される直島の家プロジェクト。庭の椿、室内に



散りばめられる椿の花と、葉が一枚



空間を満たす有と無と、虚と実



精巧に彫られた椿の花は、庭の椿と対をなし


そして竹に隠された仕掛けには気づかずに



かつて宿泊したベネッセハウスで、何気なく撮っていた


バラも手掛けている須田悦弘氏は



国立国際美術館の柱にチューリップをそっと添える


目をこらせば見えるもの。立ち止まれば映るもの


場所の持つ時の重なり、そこに刻まれる人々の営み


家プロジェクトは「在るものを活かし、無いもの
を創る」というコンセプトがもとにある。形ある
ものに意味を付加する。残された空間に、新たな
視点を加えられる。在るものと無いもの。現代美術
が与える視点は、ものの見方を動かし、価値に変化
を生じさせる。時を重ねた集落に、旅先の風景に、
アートの視点を持ち、見えないものを感じていく。


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