芸術は間をつなぐ媒介となるように
建物は時をつなぎ、内包し、顕在化させて
建物にふれて、空間に過ごし、芸術を感じる。ここは
森の芸術祭の会場でもある。城東むかし町家にて展示
された三つの作品。風土、茶徳、うちなる庭という作品
は風景、空間、音、それぞれの間を繊細に、織り交ぜ
ていく。それは訪問者の心を導くように、響くように、
そこに存在するものと、いつかの記憶の媒介となる。

建物は時の流れを紡ぎながら、森の芸術祭の会場として

作品のうつわとなる。土間に展開される大量の小麦は

津山で収穫されたもの。竈門を埋め尽くすように、空間に満ち

竈門の上の作物とともに、この地域の食の記憶を顕在化させる

地域の植物を用いた展示は、自然とのつながりを感じさせる

片桐功敦氏による風土という名の作品に

その麦の連なりは、記憶の中の一面の麦畑とつながって
こちらは二条大麦でも、黄金に輝く風景が重なる
その大麦から作られるお酒に身も、心も溶けるように
芸術は記憶を形に変換し、また記憶として紡がれる

展示作品は建物の各所に散りばめられて

次の作品は、茶室の空間に寄り添うように

あるがままの茶室の空気と共鳴し合う

作品はこの地方の美作番茶を素材として、サイアノタイプの

ブルーが和紙に写され、茶室の空間に添うように

青みを帯びた和紙は、外の光を柔らかく室内に取り込む

足元のケースに封じ込められた記憶の断片のような茶葉

掛け軸のような銅板に転写された像は、微細な空気を放ち

それぞれの作品はもとからそこにあったような空気感を持つ

作者は八木夕菜さん。そこにあるものをあるがままに
展開される作品には、映像を立体化させて
再構築するような作品もある

そして三つ目の作品は、敷地の中央に建つ座敷の中の

風景の中に音を生じさせるもの
静寂の中の抑制的でかすかな音、自然とつながる音を、
作品の形をたどるように、その音の形を感じるように。

かすかに流れるのは、鳥の羽や枝と人工物が触れ合う音

凹凸のついた丸い陶板は、ターンテーブルの上で

レコード版のように、細い枝がその凹凸の音を拾っていく

ピンと貼られた弦は、しんとした空気の中で

空気を振るわせ、音の重なりを作る

陶器や銅器に鉄の釜、様々なものが楽器に見立てられ

静けさが漂う空間の中で、それぞれに固有のリズムを奏で合う

タレク・アトゥイ氏により、その音は空間の中で限りなく
抑制的に、周囲の環境と調和するように
座敷の空間で、展開されていたかすかな音は、そこに
流れる日常の音と入り混じる。記憶に寄り添うような
かすかな音に耳をすませる。開け放たれた窓から風を
感じる。ぽつぽつと音がし始める。周囲が慌ただしく
なり、がらがらとガラス戸が閉められる。また空間が
静まり、非日常の音が響く。作品の世界に浸る内に、
外の雨は思いの外、勢いをましていく。気まぐれな空
模様の下、止むなく雨に打たれつつ、芸術祭も終盤へ。
