曲線は風景に溶け込むようになだらかに
直島から、高松へ向かうフェリーから
高松の港の風景を一望する。なだらかな山並み、
突出した高層ビル、互い違いに建つ建物を背景に
曲線を描く建物。それは2025年2月にオープンした
アリーナで、街の人の動きを変える建物でもある。

流政之の彫刻の背後に建つ建物は

山並みに沿ってなだらかなシルエットを持つ

それは空との境界もやわらかくし

眼の前に広がる瀬戸内海の自然と響き合う

ゆるやかな曲線に導かれるように

視線を沿わしながら内部へと足を踏み入れる

その日はイベントの開催中で、連続する屋根の下に広がる

アリーナの空間もお披露目されていて

優しげな色合いのシートが、空間にグラデーションのある

楽しげな気分をまとわせる

その色の連なりは水や緑の自然とも重なりあう

曲面で構成されるアリーナでは

空間を構成する要素も動的で、らせん階段を見上げ

建物のシルエットを模したチェアにも座ってみる

内部空間は、建物のシルエットに呼応するように

曲線のモチーフが重ねられ

水面を表すかのような床面は

空間を反転させて浮遊感をもたせている

緩やかに弧を描く形は

また内部から外部へと、周囲の風景を取り込みながら

海とつながる場所を作り出す

サブアリーナとの間に設けられた空間は

風の通り道にもなり

海と街を、空と風景をつなぐ

緑の芝に挟まれた明快な動線は

街に動きを持たせている

メインとサブの2つのアリーナは、新たな街の風景として
街と人と、海と空とも共鳴してしく

アリーナを手掛けたSANAAは、緩やかな曲線によって
大阪の梅田の街にも自然とのつながりを生み出し
高松に手掛けられた建物は、自然と響き合う。
建築家が重ねた実践は、世界的にも評価され
その独創的な形を実現させる技術も日々進化する
高松の街を変えていく、ふわりと浮かぶ
その建物は山並みのようでも、風景を構成する島
のようでも、空に浮かぶ雲のようでも、また海と
つながる水の動きのようでもある。高さが低く
抑えられ、波紋のように平面的に広がる建物は、
風景を映し、取り込んでは、街を未来へ紡いでく。
