集めた言葉を方舟にのせて
散りばめられた断片を集めていく
海の上に揺れるアート。男木島ではアートはまるで
たこつぼのごとく人々を引き寄せる。人の流れの
先には、自らの足で力強く未来へ進むかのような
方舟。途方もない波の記憶を乗り越えるように。

海に連なる石の記憶

重ねた島への旅の揺れる海で

柔らかな感触に包まれる

波は緩やかに境界を行きつ戻りつ

静かな時間が過ぎていく

砂浜に流れ着いた小枝

流木はどこからやってきたものだろうか

繰り返す波打ち際と

光に揺らめく島並みを伝い

海に浮かぶアートの元へ引き寄せられる

方舟がイメージされた彫刻は

自らの足で今にも動き出すかのように

そこに立つ。白地に青の迷彩を帯び

遠く離れた地を目指す
瀬戸内といわきの海をつなぐもの

島に突き出た波頭から

方舟は静かに歩き出す

揺らめく海と島並みの間を

彫刻はゆく。イメージの中でそれは

とてつもなく大きくなり、過去の記憶を包み込むもの
海に揺らめく彫刻は
想像の中で、いわきの海へと歩き出す

人々を引き寄せるアートには
芸術家のこの時代への思いが込められる
ある瞬間から変わってしまった世界の形
震災が起きた3日後から、書き続けられるノート。
豊かさを担う巨大で不安定な構造物。限りのない
発展を求める世界。収縮する世界は後退なのか。
あらゆるものの拡大は進化であろうか。自然に
寄り添い、静かに生きることの意味に思い馳せる。

いつかの景色がよぎる。私たちはどこに向かうのか
穏やかな自然に囲まれた森への旅で
ふれた言葉と風景と音楽が
脳内でゆっくりと流れ出しては

方舟に乗ってこの先へ
いつかの旅で出会った森には、まるで1つの方舟の
ように、たゆたう音楽が揺れていた。講演会の中で
方舟の話に触れられる。日々、階段を上るように、
風景にちりばめられた小さなものを拾い集めては、
その方舟に乗せて行く。時代の波が大きくうねる。
その隙間に縫うように、風景に沿って進んでいく。
