島の隙間に潜り込むように
風景に潜む言葉をたよりに
色や形が帯びる島の記憶をたどり歩く。褪せる色
は、光が染み込んでは、静かに輝きをまとう。日常
では目にすることのない質感、凹凸、手触りに絡み
取られ、引き込まれるように、島の風景に身を浸す。

水面の揺らぎ、風景が動く。港に置かれた

フジツボをまとう大きなタコツボに

ぽっかりと空いた円の形
弧を描いてはめぐる旅で

手触りや凹凸を手がかりにして

島に散りばめられた形をたどる

くるりとつながる形のリズムに
沿っては潜り込むようにして

縦に連なる支柱に沿って

海に浮かぶ線。防波堤の上の灯台と

漁船がまとう海の恵みの気配に
旅に揺れる船の記憶を重ねていく

島の空気に触れる。潮の香りが流れる

ひなびた板塀と淡いトタン

コンクリートブロックと褪せた青

光が混じる海の色をしたベニヤ板の側には島に過ごす猫

誰かを待ち続けるような黄色のベンチ

錆びゆく赤の色の連なり

島に流れる形と色の隙間に
繰り返し身を重ねる

さわさわと揺れる島の風景を

柔らかな光が包みこむ

海へと続く道の足元には

島の記憶となって並ぶ形に
吸い込まれそうになりながらも

光を湛える海がゆらめく

水平に伸びる防波堤に沿って
港に散りばめられた形の連続

入り組む港、線が重なる

光が揺れる海に誘われて
島に流れる記憶の間に

引き寄せられるようにして

たゆたう海の先へと進む
男木島に伝わるタコツボ漁。いたる所に置かれた
小さなツボ。のみならず人が入れるほどの大きさ
のものまである。錆びついたシャッターや褪せた
ベンチが帯びる時間。散りばめられた色や形の間に
潜り込んでは、タコのように吸い込まれるように。
