彫刻と建物と自然の間をぬうように
直島で重ねられる打ち放しのコンクリートの
地中美術館が内部に持つ空間に、思いをはせて、
壁が帯びる時間の層を感じ、島に漂う空気を吸う。
10年以上も前となる旅のことを、空に重ねつつ、
コンクリートや彫刻がリズムを作る場所を進む。

直島は、今やアートをまとう島でもある

いつか通った曲がり道の先には

世界で初めてとなる李禹煥美術館

安藤忠雄氏が手がけた打ち放しコンクリートの水平線を

突き抜けるように立つ彫刻家による柱

ここは、彫刻と空間の自然が均衡する場所

コンクリートの質感に

空へと伸びるシルエットに
時を超えるように立つ、いつか塔の姿を重ねる

空へと伸びる柱に対し、地面に広げられた鉄の板

ここは打ち放しコンクリートを背景に、柱と鉄と

圧倒的な物質感を携えた石が

関係性を構築する場所。それは見るもの位置により

角度により、目線によって見え方は変わる

美術館は形をなさず、打ち放しコンクリートの壁として

存在し、その隙間をぬうように続くアプローチには

彫刻家の作品と

移りゆく空が展示されている

折り重なる壁を抜けた先の入口。その日は

休館日でも、後の予定を考えれば、ここまででも充分で

12年前に訪れた風景を思い返す

壁は木漏れ日のキャンパスとなり

彫刻の関係性を際立たせるものとなる

打ち放しコンクリートは、年月を経て

その場所に馴染み、関係性を際立たせていく

前庭の先には、光が広がり、たゆたう海

その海へと向かう風景を切り取るように

新たな彫刻が設置されていた

ステンレスの曲線は空を分割し

支える石との緊張感を帯び

圧倒的な素材の力と

自然と海との関係性を感じながら

いつか歩いた海辺へ進む

形と素材が入り混じる彫刻群の

関係性の中をめぐり

自分と場所と彫刻とのつながりを感じる

そして彫刻や建物は自然に抱かれる
壁は空を分割し、空間を区切り、動線を形作る。
彫刻家は空間と対峙し、風景と関係を持つ壮大な
彫刻をこの地に立てる。ここにしかない景色と、
かつてあった景色。時とともに、コンクリートの
壁は表情を持ち、訪れた人を見守り厚みを増す。
ここには、建築と彫刻と空間の贅沢な関係がある。
