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島の風景をまとう線描へ

磨き上げられた輝く漆が時を映す

島の時間は過去から今へゆっくりと流れ、芸術祭も
数を重ねる。散りばめられたアートをたどり、視点
はめまぐるしく動く。2010年の旅の記憶を、2025年
の旅に重ね、島の風景をまとう線描の下へ向かう。



光を反射するもの。吸い込むもの



島の時間の中を歩く



ふと開く奥行きに



重なる緑の鮮やかさ



風化したしっくいに



つながれた軒丸瓦



視点は上から下へ



仕上げに沿って、枠を伝う



からたちのすりガラスの先に



新設された壁と格子のガラス戸の内側に



設置された部屋の中では



床の間や襖は床に



八畳間の畳敷きが壁となる



平衡感覚が失われ、視点は絡め取られるように



畳縁の線に沿う。襖に描かれるのは



瀬戸内の海の守り神



うねる触手に


回転した空間に



視点はぐらりと動かされて



連続するガラス窓の縦桟が、映り込む光が



遠い過去へと記憶をつなぐ



連続する黒い桟にはめ込まれたすりガラスから



やわらかな光が内部に滲む



その旅は2010年9月のことで



空間に浮かぶ無数の白と黒により



描かれたゆらぐ波と連なる島の風景は


会期中に隣家の火災の延焼により失われたが


時を隔てて線が重ねられる。


白と黒の線描は



白地に黒が絡まりあうように



飛沫をあげる波となり



瀬戸内の海の風景が展開される



波のうねりの先に見えるのは



男木島の記憶をつなぐ船



船を見守るような海の主は



ぐねりと伸ばす触手の向こうに



ぽっかりと空いたの瞳の先に



浮かぶ赤と白の船や



島の風景をまとう



ガラスに浮かぶ魚は



島のシルエットとなり、作品を構成するものとなる



ガラスの向こうに広がる島の風景と



島を見守るタコの絵が重なりあうことで



男木島を象徴する作品となる


描かれるた線は、失われながらも今に続き


遊び心と、漲る冒険心により


海を越えて、過去から今へとつながっていく


ガラスに描かれた絵は、重なることで一つとなる。
過去にも作品に仕掛けられた遊び心。作品への思い
はブラジルから日本へ海を渡り、この瀬戸内へと
流れついた。大岩オスカール氏の壮大な旅のような
人生と作品。それは男木島のタコの触手のように、
さまざまなものを繋ぎとめては、またこの先へ。


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