見出し画像

60代の再就職は資格だけでは決まらない|辞めた後も残る『働き方の評価』


60代の再就職、資格や肩書きだけで決まると思っていませんか。
僕は再就職したあと、自分の知らないところで前の上司に仕事ぶりを聞かれていたと知りました。
そして2年半後、今度は僕がOBについて「この人どう?」と聞かれる側になりました。



妻が元気だったら、僕はたぶん再雇用を選んでいました。

長く働いた会社です。

仕事も分かっている。
知っている人もいる。

60代になって、わざわざ知らない会社へ行き、一から仕事や人間関係を覚え直そうとは考えなかったと思います。

でも、妻の介護が始まり、僕はいったん会社を辞めました。

その後、縁があって関連会社へ再就職しました。

あれから3年になります。

そして再就職したからこそ、見えてきたものがありました。

履歴書に書く資格や役職、実績だけではありません。

「この人と一緒に働けるか」

そんな、履歴書には書けない評価です。

少し生々しい話になります。







誰に読んでほしいか


定年が近づき、

「このまま再雇用で残ろうか」
「別の会社へ再就職しようか」

と考えている50代、60代の人に読んでほしいと思っています。

資格を取っておけば何とかなる。
管理職をしてきたから、その経験は次でも評価される。
長く働いてきた実績があるから大丈夫。

僕も、どこかでそう思っていました。

でも実際に見たり聞いたりしたのは、それだけでは分からない部分でした。


僕は何者か


僕は長く会社員として働き、妻の介護をきっかけに退職しました。

その後、関連会社へ再就職し、今の職場で働き始めて3年になります。

現役社員だったころは、何人もの再雇用者を見る側でした。

その後、自分が60代で再就職する側になりました。

そして今は、OBについて、「この人どう?」と聞かれる側にもなりました。

この3つの立場を経験して、初めて分かったことがあります。


この記事で知ってほしいこと


再雇用と再就職のメリット・デメリットを比べる記事ではありません。

僕が伝えたいのは、そのもう少し内側です。

会社を辞めたあとも、人の中には何が残るのか。
再就職するとき、資格や肩書き以外にどんなところを見られることがあるのか。
そして、自分では見えない『働く人としての評価』とは何なのか。

僕自身の経験から書いてみました。


僕も知らないところで、仕事ぶりを聞かれていた


再就職したあと、僕は後になって知りました。

採用前に、今の会社が辞める前の上司へ、僕について聞いていたそうです。

仕事はできるのか。
どんな実績があるのか。
一緒に働きやすい人なのか。

かなり細かく聞かれたと知りました。

正直、「そこまで聞いてたんか」と思いました。

僕は履歴書を書き、資格や経験を伝え、面接で判断されるものだと思っていたからです。

これは、僕が再就職した関連会社で実際にあった話です。

60代の再就職全般で、同じような確認が行われていると言いたいわけではありません。

そのやり方の是非をここで論じたいわけでもありません。

ただ少なくとも僕の場合は、自分で書いた履歴書だけではなく、

「一緒に働いていた人から見た自分」

まで確認されていた。

少し怖い話です。

自分では仕事ができると思っていても、周りは違う見方をしているかもしれない。

逆に、自分では大したことをしていないと思っていても、「あの人なら」と覚えてくれている人がいるかもしれません。

履歴書には自分から見た自分を書くことができます。

でも、一緒に働いた人の中に残っている自分までは書けません。


2年半後、今度は僕が「この人どう?」と聞かれた


それから2年半ほどたったころです。

今度は僕が逆の立場になりました。

「誰かOBにいい人いない?」と聞かれたんです。

仕事ができると思う人なら、何人か頭に浮かびました。

そのうち候補者の名前が並んだリストを見せられ、

「この人はどう?」

と聞かれるようになりました。

これが結構つらい。

知っているからこそ、簡単には答えられません。

この人なら今の職場でも仕事を任せられると思う人もいます。

でも、「僕からは自信を持って勧めにくいな」と思う人もいる。

ただ、それはあくまで僕の見方です。

僕とは合わなかっただけかもしれない。

前の職場では目立たなかった人が、別の職場で力を発揮することだってあります。

人を値踏みするようで、正直、気持ちのいい役回りではありませんでした。

それでも、「この人どう?」と聞かれる。

しかも僕が名前を挙げた人へ、実際に電話をかけたケースもありました。

そこまで行くと、「まあ、いいんちゃいますか」とは簡単に言えません。

なんで僕に選ばせるんやろ。

そう思いました。

そして同時に、「僕も再就職するとき、こんなふうに聞かれていたんやろな」と思いました。

自分が聞かれる側になって、初めて分かったことでした。

もちろん、こうした声かけや周囲の話だけで採用が決まる、という意味ではありません。

ただ僕が見た範囲では、1つの判断材料にはなっていました。


「役職の人はちょっとねえ、使いづらい」


候補者の話をしていたとき、こんな言葉も聞きました。

「役職の人はちょっとねえ、使いづらい」

僕も、そこまで言うんやと思いました。

少し引っかかる言い方でした。

もちろん、役職経験者がみんな使いづらいという話ではありません。

管理職として培った経験や調整力が、次の職場で役立つこともあります。

ただ、話を聞いていると、問題にされていたのは役職そのものではないように感じました。

たとえば、

新しい職場のやり方に合わせられるか。
年下の社員とも普通に仕事ができるか。
前の会社のやり方をそのまま持ち込まないか。
自分の経験を押しつけず、必要なところで使えるか。


そんなところを気にしているように感じました。

前の会社で肩書きがあったことと、次の職場で一緒に働きやすい人かどうかは別なんや。

僕はそう感じました。

管理職だった経験を消す必要はありません。

でも、「前は部長だった」「課長だった」で仕事をするわけではない。

新しい職場に入れば、そこでの役割があります。

60代の再就職では、その切り替えも見られるのかもしれません。


資格も、持っているだけでは決まらない


資格も同じです。

僕自身、資格は大切だと思っています。

資格がなければできない仕事もあります。

勉強してきた証明にもなります。

だから、資格に意味がないと言いたいわけではありません。

ただ、「この資格を持っています」だけで、「この人なら仕事を任せられる」と決まるわけでもない。

僕が見てきた範囲では、資格を持っていても、本人が希望する仕事と職場がしてほしい仕事が合っていなければ、話は進みにくいように見えました。

本人は事務職をしたい。
でも、職場が求めているのは、別の仕事をしてくれる人。

そこがずれていたら、資格があっても話は合いません。


本人がやりたい仕事と、職場がしてほしい仕事。

同じとは限りません。

だから資格の数だけではなく、

この資格やこれまでの経験を使って、今の自分に何ができるのか。

まで考えておくことが大事なんやろなと思います。


前の会社との『つながり』も見られていた


僕の場合、もう1つ見られていたものがありました。

前の会社との仕事上のつながりです。

長く働いていた会社と、仕事上の関係がまだ残っているか。
必要なときに、業務上差し支えない範囲で相談したり、話を聞いたりできる人がいるか。

関連会社という事情もあると思います。

だから、これもすべての再就職に当てはまる話ではありません。

実際、労働政策研究・研修機構(JILPT)の資料でも、60歳以降の転職では、若い世代に比べて前職や知人などのつながりを経由した入職が多い傾向が示されています。

ただ僕は、偉い人と知り合いになっておこうと言いたいわけではありません。

ここで言うつながりは、特別なコネや顔の広さとは少し違います。

「あの人なら、相談できる」
「あの人なら、一度話を聞いてみよう」
「あの人なら、また一緒に仕事をしてもいい」

そう思い出してもらえる関係です。

名刺を何枚持っているかではありません。

一緒に仕事をした時間の中で残っていくものなんやと思います。


現役社員だったころの僕には見えていなかった


僕が現役社員だったころ、何人もの再雇用者と一緒に働きました。

その中には、社員時代と変わらないくらい仕事をする人もいました。

一方で、任された仕事はするけれど、それ以上にはあまり手を出さない人もいました。

当時の僕は、そんな人を見て、「もうちょっとやったらええのにな」と思うことがありました。

長年の経験があるんだから、若い社員に教えたり、少し周りを助けたりしてくれてもいいんじゃないか。

そう思っていました。

でも、自分が60代になった今は少し違います。

再雇用になれば、給与も立場も役割も変わることがあります。

昨日までと同じように働いてほしいと言われても、気持ちまで同じとは限りません。

「そら、そうやな」、今ならそう思います。

当時の僕は、再雇用になった人を自分の立場からしか見ていなかったのかもしれません。

だから大事なのは、再雇用になったこの人に何をしてもらうのかを本人も職場も分からないままにしないことなんやと思います。

現役社員からすれば、「あの人、何を担当してるんやろ」

再雇用者からすれば、「どこまでやればええんやろ」

同じ職場にいても、感じているものは違います。

昔の僕には、そこまで見えていませんでした。


介護や家庭の事情で辞めても、仕事ぶりは残っていた


以前の会社では、介護や家庭の事情でいったん会社を辞めた人が、再び働くケースが増えているようです。

ただ、僕が見ていた範囲では、誰にでも声がかかっていたわけではありません。

「あの人なら、また来てもらいたい」

そう思われている人に声がかかっていました。

ここもシビアやなと思います。

介護や家庭の事情で辞めたこと自体が問題なのではありません。

でも、もう一度一緒に働くとなったとき、

辞める前に、どんな仕事をしていた人なのか

は残っている。

退職すれば、役職はなくなります。
会社名の入った名刺も使わなくなります。

でも、それまでの仕事ぶりまで一緒に消えるわけではありません。


再雇用か再就職か、今の僕なら5つを考える


僕は結果として、再就職する道を歩きました。

でも、再雇用と再就職のどちらが正解だとは思いません。

慣れた会社で働きたい人もいる。
違う仕事に挑戦したい人もいる。
給料を優先する人もいる。

介護や家庭の事情から、勤務日数や時間を最優先にしなければならない人もいます。

今の僕なら、定年後の働き方を決める前に、この5つを考えます。

  1. 再雇用されたあと、実際にどんな仕事をするのか

  2. 給料や立場が変わっても、その仕事を続けたいか

  3. 介護や家庭、体力と勤務条件が合っているか

  4. 今の会社を離れても「これならできる」と言える仕事があるか

  5. 会社を辞めたあとも「あの人なら」と思い出してくれる人がいるか

最後の5番は、人脈自慢の話ではありません。
知り合いを増やしておこう、という話でもない。

今まで、どう働いてきたか。

そこにつながっているのだと思います。


退職すると肩書きは外れる。でも、仕事の記憶までは消えない


会社を辞めれば、社員証を返します。
役職もなくなります。
会社名の入った名刺も使わなくなります。

でも、一緒に働いた人の中には、その人の仕事のしかたが残ります。

僕は再就職するとき、自分の知らないところで以前の上司に仕事ぶりを聞かれていました。

そして2年半後。

今度は僕自身がOBのリストを見ながら、「この人どう?」と聞かれていました。

両方を経験して、ようやく分かったことがあります。

退職すると肩書きは外れる。
でも、あの人なら一緒に働けるという記憶までは消えない。

これは、将来の再就職のために会社へ尽くせ、という話ではありません。
会社に合わせて無理をし続ける必要もありません。
退職したあとまで、誰かが自分を評価し続けているわけでもない。

ただ、一緒に働いたときの印象は、人の中に意外と残ります。


僕は、採用される側と人について聞かれる側の両方を経験して、それを知りました。

60代の再就職を考えるなら、資格やこれまでの経験を整理することも大切です。
でも、それだけでは見えないものもあります。


だから今、僕自身にも一度問いかけています。

今の会社を辞めたあと、僕はどんな人だったと覚えられているだろう。

もっと早くこのことに気づいていたら、現役社員だったころの再雇用者を見る目も、少しは違っていたと思います。


この記事を書いたあと、もう一度「じゃあ今の僕は、どんな働き方をしているんやろ」と考えてみました。

2回の休職や介護離職、60代での再就職を経て、今の僕が意識していることを「7つの習慣」として整理してみました。



もう少し深く読みたい方へ


僕のメンバーシップでは、休職・復職、60代の働き方、再就職などについて、無料記事では書ききれなかったこともまとめています。

「無理を続けない働き方」を一緒に考える場所として、有料記事も読めるようにしています。

気になる方は、のぞいてみてください。

▶ メンバーシップはこちら


参考にした資料


労働政策研究・研修機構(JILPT)|高齢者をめぐる労働市場の動向


いいなと思ったら応援しよう!

ぼちみち|無理を続けない働き方 よろしければ応援お願いします! いただいたチップは妻の介護用品購入に使わせていただきます!

この記事が参加している募集