#018 小さな感動が、大きなブランドになる話 - リッツ・カールトンの実話を元に -
こんばんは😊
『記憶に残る人になる』著者の福島靖です。
このnoteでは、人の心を動かし、記憶に残る人になるための思考と実践を、ホテルマン・営業マンとしての実体験からお伝えしています。
「小さな感動」を積み上げる
まず、前提としてお伝えしたいことがあります。
皆さんは「ザ・リッツ・カールトン」と聞くと、
どんなイメージをお持ちでしょうか?
僕自身は、たまたま本屋で手に取ったリッツ・カールトンの本に感動して、
「どうしても入社したい!」と思いました。
その中には、色んな凄いサプライズ・エピソードが載っていたんです!
例えば、リッツ・カールトン大阪のスタッフが、お客様が大切な書類を忘れて帰った事に気づいて、急いで新幹線に飛び乗った話。
ビーチでプロポーズをしたい男性のお客様のために、スタッフがタキシードを着て、カクテルを用意して、粋な演出を行ったり。
そんな話を幾つも目にしたので、僕はてっきり、リッツ・カールトンでは毎日、そんな大きな感動が起こっているんだと思っていました。
でも、入社して分かった事は、そんな大きな感動なんて、そう頻繁にあるものじゃない、って事でした。
でも、その代わりに
「え?なんでわかったの?」っていう小さなサプライズや、「なんかいいな」っていう、小さな心地よさをつくるのが得意なホテルでした。
今回のお話は、そんな小さな小さな、
僕自身が感動したエピソードです。
二つのカクテルグラス
それは、僕がホテルを退職する半年くらい前の事でした。
夜の8時すぎ、バーに一人のマダムがお越しになったんです。
ご年齢は確か・・70歳近くの方でしょうか・・。
僕は、窓際の2名掛けの席にマダムをご案内しました。
ただ、僕は事務仕事をしなければならず、対応を後輩の男性に任せて現場を離れました。
それから30分ほど経った頃、
現場の様子を見ようと思って、バーに戻ったんです。
その日の営業はとても落ち着いていて、ラウンジで演奏されているジャズの生演奏に耳を傾ける余裕すらありました。
また当日は天気もよくて、45階・高さ200メートルの場所にあるバーからは、新宿方面の夜景がとても綺麗に見えてた事を覚えています。
僕は、バーのお客様を観察するために、
ゆっくり歩きながら各テーブルの上に目を落としていました。
すると、ある違和感に気が付いたんです・・。
つい30分前に僕が案内した、マダムお一人のテーブルになぜか・・
同じカクテルが二つも出ていたんですよ。
しかも、マダムの目の前にあるカクテルは全然減っていない。
なのに、もう一つあるだなんて。
おかしいなって思ったんですよ。
稀に飲むのが早いお客様の場合は、「先に、二杯持って来ていいよ!」っていう方はいらっしゃいました。
でも、そのマダムは明らかに様子が違うんです。ほとんどカクテルは飲まずに、外の夜景をただぼんやり眺めているんですよ。
僕はすぐに、対応を任せていた後輩に声を掛けたんです。
「ねえ、テーブル10番だけど、なんでカクテルが二つ出てるの?」
すると、後輩が「すみません」と前置きをした上で、こんな説明をしたんです。
「あの一杯は、ホテルからのサービスにさせてもらえませんか?」
いや、だってお客様は一名様でしょ?
それに、全然飲んでないし・・?
すると後輩が続けてこう言ったんです。
「福島さん、お隣の席をそっと見てもらえますか?」
そう言われて、僕はもう一度、そのマダムの席の横を通ったんです。
今度は後輩に言われた通り、隣の席を観察しながら・・。
すると、ある事に気が付きました。
マダムの右隣の席の背もたれに、写真タテに入った、
一枚の写真が置かれていたんです。
目には見えない、もう一人のお客様
僕は、やっと真相を理解できました。
どうやら、後輩がマダムのご注文を伺い、カクテルをお出しした時、横の席に立てかけられた写真に気がついたそうなんです。
よく見ると、そこには一人の中年男性が映っていたんだそうです。
それで、後輩は気になってお客様に聞いたそうなんです。
「このお写真は、どなたなんですか?」
すると、お客様がこう答えたそうなんです。
「亡くなった主人なんです。
今日は久々に主人との想いでに浸りたくて。
主人と行きたいと思っていた、リッツ・カールトンのバーに来てみたんです。」
そして、後輩は考えてみたそうなんです。
「もしも、自分がお客様の立場だったら、どんな事をされたいかな?」
って。
すると、こう思ったそうなんですよ。
叶わない事だけど、
きっとご主人と一緒に、カクテルを飲みたかったんじゃないのかな?って。
それで、バーテンダーに事情を話して、
もう一杯、同じカクテルを作ってご主人様用にお出ししたんです。
「今日は、ご主人様との大切な時間にリッツ・カールトンにお越しいただき、ありがとうございます。こちらは、ホテルからのサービスです。ごゆっくりどうぞ。」
そんな言葉を添えて。
マダムは、目を潤ませて喜んでくれたそうです。
そして、
僕に事情を説明する後輩の目頭も熱くなっていました。
1.01と0.99の法則
この法則、聞いた事はありますか?
1は何回かけても、答えって「1」のままですよね。
だから、1の365乗は当然「1」。こんなの当たり前の話ですよね・・。
じゃあ、1に0.01だけプラスした「1.01」の365乗は幾つになると思いますか?
答えは、「37.8」なんです。
そして、1から0.01だけマイナスした「0.99」の365乗は、いくつになると思いますか?
答えは、「0.03」。1より下がってしまう。
1にも満たない、0.01だけど、毎日365日やり続けたら、37.8にもプラスになるなんて、なんだか凄いなって・・。
この法則を知った時に、僕はとても感動しました。
大きな一歩なんて狙わなくていいんです。
小さな小さな、自分らしい、今すぐできる0.01歩を踏み出し続ける事。
それが、何より大切な事なんだと。
そして「リッツ・ブランド」へ
後輩は、別にお客様から頼まれた訳じゃありません。
それに、もしかしたら大きなお世話だったかも知れません。
でも、お客様に喜んでもらいたい。
素敵な時間にしてもらいたい。
そのために、自分には何ができるんだろう?
そう考えた後輩が、勝手にやった事なんです。
この想いこそが、「ホスピタリティ」の正体なんです。
そして、この話って何か大きなコストが掛かった訳でも、沢山の人を巻き込んだ、大がかりなサプライズでもありません。
きっと、本の中に登場させるには、小さ過ぎるエピソードかも知れません。
でも、そんな一人一人の小さな行動の積み重ね。
小さな感動の積み重ねが、やがて大きな結果となるのです。
こうして、「ザ・リッツ・カールトン・ブランド」は出来上がった。
僕は、
そんな本質を、後輩のホスピタリティから教わりました。
今回も、最後まで読んでいただき有り難うございました😊
