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『The Culture Map』を読み解く~異文化理解と多様性の架け橋~

いよいよ新しい本『The Culture Map』by Erin Meyerについての執筆記事の連載を始めます。邦題は『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』です。


はじめに:本への興味のきっかけ

「日本生まれ、米国育ち」と「DE&I」が繋がった

幼少期から多様性豊かな米国で過ごした経験を通じて、自分自身の「出身地(日本)の世界での立ち位置や見られ方」そして「アイデンティティ」について、非常に深い興味を持つようになりました。90年代に渡米し、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まる環境で強く感じた問題意識は、2010年代以降、「DE&I(Diversity, Equity & Inclusion:多様性・公平性・包括性)」という言葉で語られるようになり、まさに「これが私がずっと考えてきたことだ!」と実感しました。この分野の研究が進むにつれ、ますます興味が深まり、「DE&Iを軸として社会をより良くしようとする人々がたくさんいる!」という点に少し安心感を抱くようにもなりました。

世界では何年経っても紛争が絶えず続いているように、人間は決して完璧な状態を保てません。しかし、個々人の小さな心がけや努力によって、身近な世界に小さな幸せをもたらすことは可能だと信じています。個人単位や国単位での問題は依然として多く残り、実践は難しいものの、少なくともグローバルビジネスの世界では、DE&Iを取り入れることが当たり前になりつつあることを嬉しく思っています。

この本のご紹介スタイルについて

前置きが長くなりましたが、この本をすべて翻訳するのは専門家にお任せします(日本語訳版も出版されていますので、興味がある方はAmazonなどで探してみてください)。また、ビジネスでは大人気の話題作なので、本の要約は巷にたくさん出回っています。この記事では、本の全内容を網羅するわけではありません。代わりに、私が「面白い!」と思ったポイントを抜粋し、自分の感じたことや体験も交えながらご紹介していきます。本に少しでも興味を持っていただけたら、ぜひご自身で手に取って読んでみてください!

さらに、私自身の勉強の一環として、読書中に出てきた重要な単語やフレーズを最後にまとめておきます。現地校で文学を教えていた先生から、「本を読むときは、付箋を本の背表紙裏に貼り、わからない単語はそこに書き留め、最後にまとめて調べるのがお勧め」と教わったことがあります。この方法を取り入れ、調べながら読むのではなく、調べる作業は後でまとめて行うようにしています。調べる作業は私の相棒、ChatGPTにお任せして、表にまとめてもらっています!数分で調べて表を作成してくれるので、一緒に英単語も学んでいきましょう!

<著者の公式ウェブサイト> 

https://erinmeyer.com/

<本の目次>

Introduction: Navigating Cultural Differences and the Wisdom of Mrs. Chen
1. Listening to the Air
 Communicating Across Cultures
2. The Many Faces of Polite
 Evaluating Performance and Providing Negative Feedback
3. Why Versus How
 The art of Persuasion in a Multicultural World
4. How Much Respect Do You Want?
 Leadership, Hierarchy, and Power
5. Big D or Little d
 Who Decides, and How?
6. The Head or the Heart
 Two Types of Trust and How They Grow
7. The Needle, Not the Knife
 Disagreeing Productivity
8. How Late is Late?
 Scheduling and Cross-Cultural Perceptions of Time
Epilogue: Putting the Culture Map to Work

The Culture Map by Erin Meyer

Introduction: Navigating Cultural Differences and the Wisdom of Mrs. Chen

この本では、パリでのプレゼンテーション時に中国出身のChenさんとのやりとりを軸に、文化の違いから生じるビジネスコミュニケーションの課題をどのように乗り越えるかが紹介されています。具体的には、文化的な違いが引き起こすコミュニケーションの課題に対して、体系的かつ段階的に理解を深める方法を提案し、それらの課題に効果的に対処するための実践的なステップを示しています。

ご紹介したいポイント

◆コミュニケーションツールとしてメールが定番となった今、改めて文化が仕事に与える影響を意識する

The sad truth is that the vast majority of managers who conduct business internationally have little understanding about how culture is impacting their work. (omitted) when you exchange email with an international counterpart in a country you haven't spent time in, it is much easier to miss the cultural subtleties impacting the communication.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.11)

「悲しい現実として、多くの国際ビジネスを行うマネージャーは、文化が仕事に与える影響をほとんど理解していません。(省略)また、滞在経験のない国の相手とメールをやりとりする際には、文化的な微妙な影響を見落としやすくなります。」

これが事実なら(おそらく事実)、とても悲しいことです。他国の企業とビジネスがうまくいかない理由の一つに、こういった文化的な違いに対する理解不足があるのかもしれません。特にM&A(企業の合併・買収)の場面では、日本企業がアメリカの企業を買収し、日本人が急にアメリカ人だらけの職場に入り、マネジメントしなければならない場合などに、このような文化的な微妙な違いが大きなハードルになることがあります。相手市場が日本だけであれば問題ないかもしれませんが、多国籍の市場を相手にする場合、このポイントを無視することはできません。

◆ビジネス成功で考慮すべきは、文化の違いか個々の違いか?

If your business success relies on your ability to work successfully with people from around the world, you need to have an appreciation for cultural differences as well as respect for individual differences. Both are essential.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.13)

「ビジネスの成功には、文化の違いの理解と個々の違いの尊重が不可欠で、どちらか一方だけを考慮する、ということではない。」

面白いなと思ったのは、私もかつて「○○人って○○だよね」と特定の国の人をグループ化して語ること自体が偏見や差別だと思っていた時期があったことです。人それぞれだから、「○○人って○○だよね」はおかしいんじゃないの?と思っていました。

帰国子女として特にアメリカでは自分が「日本人」であることに敏感になり、日本に帰れば「帰国子女」であることに敏感になります。そのため、グループ特有の話をされると、傷ついたり落ち込んだりする場面が多々ありました。こういった経験から、なるべく相手を特定のグループに入れた形で発言したくないという思いが根底にあります。

でも、最近アメリカに再来してから、「日本では○○だよね」とアメリカ人から悪意なく、文化的な尊重を込めた発言を聞くことがあります。「日本人って○○だよね」「アメリカ人って○○だよね」と、特定の国の人を無意識に(あるいは意識的に)グループ化することはよくあります。

私は、こういった発言がその人の経験に基づいていたり、数値的な根拠を持っていたり、あるいは意図的な差別や偏見ではなく、むしろ相手の文化に対する敬意を示している場合は問題ないと理解するようになっています。

でも、なぜ文化と個の両方を考慮したほうが良いのか?

If you go into every interaction assuming that culture doesn't matter, you default mechanism will be to view others through your own cultural lens and to jusge or misjudge them accordingly.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.13)

「文化を無視すると、自分の視点で他者を判断し、誤解を招く可能性があります。」

Cultural patterns of behavior and belief frequently impact our perceptions (what we see), cognitions (what we think), and actions (what we do). The goal of this book is to help you improve your ability to decode these three facets and to enhance your effectiveness in dealing with them.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.14)

「文化的な行動や信念のパターンは、私たちの認識、思考、行動に大きく影響します。この本の目的は、文化的な行動や信念のパターンに基づいた認識、思考、行動を読み解く力を高め、それに対応する効果を向上させることです。」

ビジネスはシビアです。ちょっとした会話や行動が、商談の結果に大きな影響を与えることもあります。異なる文化背景を持つ相手と接する際には、まずその文化的な違いを理解することが基本です。しかし、最終的には、相手を個人として理解し、その違いを尊重することが重要です。

たとえば、異なる国のビジネスパートナーとの会話で、文化的背景を考慮しないと、相手の言動を誤解したり、意図せず不快にさせてしまうことがあります。逆に、文化的背景を理解し、個々の違いを尊重することで、信頼関係を築き、効果的なコミュニケーションが可能になります。

◆異文化の人と接するときは観察して学んでから行動をする

When interacting with someone from another culture, try to watch more, listen more, and speak less. Listen before you speak and learn before you act.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.20)

「異文化の人と接する際は、より多くを観察し、より多くを聞き、あまり話さないようにしましょう。話す前に聞き、行動する前に学びましょう。」

「傾聴力」という言葉が、1990年代から2000年代に流行ったかと思います。それはコミュニケーションにおいて、相手の話を深く理解する力として重要とされましたが、異文化においてはそれに加えて、相手の行動や反応を観察する「観察眼」が必要だと私も思います。

私自身の過去の体験ですが、「帰国子女」として異文化環境に飛び込んだ経験は数多くあります。その際、最初はやはり非常に慎重にならざるを得ませんでした。突然、自分と異なる文化や価値観を持つ人々の中に身を置かれると、どう行動すれば良いのか分からず、発言も含めて身動きが取れなくなることがありました。特に「変な印象を持たれたくない」という気持ちが強く、最初の一歩を踏み出すのに躊躇していたのを覚えています。

渡米したばかりの頃、小学生だった私は、学年イベントのダンスパーティーに参加しました。大音量の音楽と暗いライトに包まれた体育館で、みんなが楽しそうに踊っているのを見て、「どうしよう、踊らないと変に思われるのでは?」と不安になりました。でも、思い切って踊ってみたところ、友達から「おお、yaykoも踊るのか!」と言われたことが印象に残っています。その瞬間、最初は少し違和感を持たれていた自分が、少しずつ自信を持つようになったのを感じました。

現在、子どもの成長を見守る中で、子どもたちが母親や周囲の大人の行動をじっくり観察して学ぶ様子を目にします。その姿を見て、私たち大人ももう一度「観察眼」を意識して、異文化の中で学びながら行動していく必要があるのだと感じています。

次の章はKY(Kuuki Yomenai)についてです。楽しみにしていてください!

★読書中に出会った単語の解説

読書中に出てきた気になる単語やフレーズをまとめました。意味や例文を参考にして、理解を深めてください。

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yayko@アメリカ🇺🇸【海外/子育て/帰国子女】 応援していただけると嬉しいです!!チップは米国滞在中の自己研鑽に充てさせていただきます。