すべては「代々木の路地裏」から始まった![茶トラ猫まいけるアイドル伝説] 第1話
1960年代初頭の東京、代々木の路地裏から始まる、茶トラ猫まいけるアイドル伝説の幕開けです。
〜運命の猫版サッカー〜
1. 都会の片隅、名もなき茶トラ猫
昭和の香りが色濃く残る東京、代々木。
高層ビルが建ち並ぶ前のこの街には、猫たちのための「秘密の社交場」がいくつもありました。
その中でも、特に騒がしい一角が代々木公園の裏手にありました。
そこに、一匹の小さな茶トラ猫、まいけるがいました。まいけるは、どこにでもいる野良猫です。
毛並みは少しボサボサで、耳の先には喧嘩の跡か、小さな欠けがあります。しかし、彼の瞳だけは、アスファルトを照らす夕日のようにキラキラと輝いていました。
まいけるの毎日は、空き缶を追いかけ、ネズミと追いかけっこをし、いかにして魚屋の店主から「おこぼれ」を頂戴するかという、サバイバルそのものでした。
2. 「代々木野良猫軍団」の躍動
ある日の夕暮れ時。まいけるは、仲間の猫たちと「遊び」に興じていました。それは、捨てられた小さな小さなサッカーボールで遊ぶ、猫版のサッカーのようなものでした。

まいけると、一緒に遊んでいた猫たちは、どの猫も俊敏で、独特のジャンプをする、めずらしい猫たちでした。
ルナ(黒猫)は、 しなやかな体躯で、風のようにキャップを奪うのが得意で、すりをする名人猫のようでした。
おもち(白猫)は、まるで雲のように軽やかにジャンプし、ヘディングを決める、まるでエースストライカーのようでした。
レオ(ベンガル)は、 野生味あふれる動きで、壁を蹴り、空中を舞う、華麗なプロレスラーのようでした。
プリン(三毛猫)は、 鋭い鳴き声で仲間に指示を出し、リズムを作る、チームの司令塔の猫でした。
彼らの動きは、単なる遊びを超えていました。
右へ左へ、ステップを踏むたびに肉球が地面を叩き、独特のリズムを刻みます。それはまるで、舗装されていない路地裏のステージで踊る、野生のダンスユニットのようでした。
3. 謎の老猫、現る
その様子を、公園のベンチからじっと見つめる一匹の老猫がいました。
その猫は、シルクハットのような模様が頭にあり、首元には見たこともない高級な蝶ネクタイを巻いていました。
さらに、鼻筋には銀縁の眼鏡ならぬ「銀縁の模様」がある、不思議な風貌の猫です。
彼こそが、後の猫芸能界を支配することになる伝説のプロデューサー、ジャニー猫さんでした。
ジャニー猫さんは、アメリカの基地近くで育ち、そこで本場のエンターテインメント、つまり「人間たちが歌い踊り、熱狂する姿」を見て育った、国際派の猫でした。

彼は、目の前で小さなサッカーボールを追いかけるまいけるたちの動きに、かつてない「スターの原石」を見出したのです。
4. 運命の「YOU(ユー)」
遊びに夢中だったまいけるが、ふと視線を感じて立ち止まりました。仲間たちも動きを止めます。沈黙が流れる中、ジャニー猫さんがゆっくりと近づいてきました。
彼は、まいけるの鼻先にスッと前足を差し出し、独特のしゃがれ声でこう言ったのです。
「YOUたち、最高だよ。ただの野良猫で終わるには、そのステップは勿体ない。ボクと一緒に、世界を驚かせる『輝き』を創ってみないかい?」
まいけるは困惑しました。「世界? 輝き? おじさん、それより今はチュールじゃなくて、煮干しの方が大事だよ」と答えようとしました。
しかし、ジャニー猫さんの瞳の奥にある「情熱の炎」を見た瞬間、まいけるの背中の毛が逆立ちました。
それは恐怖ではなく、今まで感じたことのない高揚感。自分の小さな肉球が、もっと広い場所、もっと高い場所を目指したがっていることに気づいてしまったのです。
5. ニャニーズ事務所の誕生
「……僕たちが、踊るの?」
まいけるの問いに、ジャニー猫さんはニヤリと笑いました。
「踊るんじゃない。魅せるんだよ。猫が人間に媚びる時代は終わった。これからは、人間が猫に憧れ、涙を流す時代を作るんだ。YOUたちが、その第一歩だ。」
その夜、代々木の古いアパートの軒下。雨漏りのする湿った場所でしたが、そこが伝説の「ニャニーズ事務所」の最初の拠点となりました。
看板もありません。あるのは、ジャニー猫さんが持ってきた一枚の古いレコードと、まいけるたちのやる気だけ。

まいける、ルナ、おもち、レオ、プリン。後に伝説となる5匹の「キャット・アイドル」が、初めて同じ方向を向いて鳴き声を上げたのです。
「ニャーーー!!(やってやるぜ!)」
それは、後に猫界の歴史を塗り替える、長く、険しく、そして誰よりも輝かしい物語の、ほんの序章に過ぎませんでした。
第1話 完
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